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解説 ヒーロー(仮面ライダーorウルトラマン)と非ヒーローのタッグ8組によるタッグ戦。 ルール 2ラウンド先取で勝利 獲得したラウンドにつき1ポイント獲得 各ラウンド終了時に2人とも生存ならさらに1ポイント獲得 2~5順目終了後にボーナス戦用特別タッグとボーナス戦を行う。 ボーナス戦は上述のポイント計算法は適用されず、勝てば3ポイント獲得 5順目が終了した時点で合計ポイントが最も多いタッグが優勝 出場タッグ + ... タッグ名 選手名 製作者 AI 備考 グレートマンごっこ ウルトラマングレート muu氏 デフォルト AIレベル6 宮内れんげ 三吉氏 Air氏 ゼロとゼロ ウルトラマンゼロ bakisimu氏 デフォルト ゼロ(ロックマン) Ranzaneko氏、Mr.Karate氏 ホルン氏 エックスとエックス ウルトラマンエックス bakisimu氏 デフォルト エックス へちょ氏 ホルン氏 辛味処たちばな 仮面ライダーギャレン jaki氏 デフォルト 立華かなで ネンミン氏 ぼや氏 疾風/切札 仮面ライダージョーカー arumikan氏 デフォルト ショー・疾風 アフロン氏 くねくね氏 パンツさえあれば 仮面ライダーオーズ nipa3008氏 Anomi Polis氏 LIFE1000→850 アーサー(魔界村) Acey氏、Sludge氏 デフォルト ラビットハ○○ 仮面ライダーフォーゼ qzak氏 ななび氏 Iseebi氏パッチ使用 保登心愛 三吉氏 ちぃたま氏 二重人格ゲーマー 仮面ライダーエグゼイド qzak氏 原付ライダー氏 horampor氏パッチ使用 武藤遊戯 ju氏 デフォルト ボーナス戦用タッグ タッグ名 選手名 製作者 AI 備考 2順目:人間の可能性と未来は無限大 ウルトラマンメビウス bakisimu氏 デフォルト 仮面ライダーゴースト qzak氏 qeg氏 3順目:モロボシ・ダン・黎斗 ウルトラセブン muu氏 デフォルト 製作者名をpart3の動画説明文にて訂正 仮面ライダーゲンム 湊丸氏 Air氏 4順目:指輪の戦士 ウルトラマンレオ bakisimu氏 デフォルト 仮面ライダーウィザード カイガン氏 ななび氏 5順目:南北と左右 ウルトラマンエース bakisimu氏 デフォルト 仮面ライダーW arumikan氏 デフォルト 関連大会 虫 トーナメント【ムシキング】 虫っぽいトーナメント 仮面ライダー×(非)仮面ライダーMUGEN大戦 ライダー・ウルトラマン連合VS魔法少女連合 ランセレ勝ち抜き戦 ゴジラトーナメント オール仮面ライダートーナメント 仮面ライダーランセレバトル 仮面ライダー凶悪GP 「ライダーは助け合いでしょ」トーナメント 特撮トーナメント 「魔法少女とも助け合いでしょ」杯 2015年のアニメをMUGENで振り返る大会 コメント 今回はOPにキャラ名が無かったのでとにかく編集が大変でした。製作者名とディスプレイネームからキャラ名を推測してページを作ったので、もしミスや間違え等ありましたら申し訳ありません。気付いた場合は修正していただけると助かります。知人から聞いたウルトラマンの区別とか知らない人には外見からは付かないという言葉の意味を深く理解しました。部外者のジャンルに詳しくない人に外見だけで区別させるのは本当に大変だと身をもって実感しました。 -- ページ作った人 (2017-06-11 16 21 26) 名前 コメント マイリスト
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目次 設定性格 交友関係月村家 家族構成 魔力リリカルなのは リリカルなのはA’s レイジングハート使用魔法 変形モード 声優 設定 私立聖祥大附属小学校に通う、小学校三年生。ちなみにクラスは三年一組。年齢は9歳、左利き。天性の魔力の強さによるものか、ジュエルシードとの戦いで傷ついたユーノ・スクライアの助けを呼ぶ声を感じ、彼を助けることによって、魔法の杖「レイジングハート」と出会い、魔法の力を得る。そして、本来ユーノの使命であったロストロギア「ジュエルシード」を探す手伝いをすることとなる。 性格 運動能力は低めだが、成績優秀、健康優良、家族想いでまじめで明るいよい娘。 深い優しさを持っており、悲しい出来事や困っている人を放っておけない性格。本人にその自覚はあまりないが、「正義」の心にとても厚い。ユーノとの出会いで、魔法少女となり「ジュエルシード」を巡る混乱へと巻き込まれても「自分には、困っている人を助けてあげられる力があるのだから」と前向きに魔法の力と向き合う。 交友関係 月村すずか、アリサ・バニングスとは入学したての頃からの友人 …月村すずか、アリサ・バニングス 月村家 …月村忍、ノエル、ファリン 家族構成 姉が一人、兄が一人と、両親がいる。 …高町美由希(姉)、高町恭也(兄)、高町士郎(父)、高町桃子(母) 魔力 リリカルなのは 魔法を使い始めたばかりの頃は、魔法を使うことによってなのは自身にも負担がかかり、疲れて寝入ってしまうことがあった。なのはの魔法はあらかじめなのはのステッキ「レイジングハート」にプログラムされていたもの。これは「祈願型」と呼ばれるプログラムで、術者が希望する効果を自動的に選択、効果を組み合わせて発動する便利な魔法だが、命令を失敗すると思い通りの効果が出なかったり、それほどたいしたことができるわけではなかったり…と、欠点も多い。が、術者の意志と心に合わせて、また回収・吸収したジュエルシードの数に合わせて成長していき、使用者の望む魔法を使用者とともに作り上げていく力を持つ。 リリカルなのはA’s 得意魔法は射撃制御と砲撃系。特に誘導操作弾のコントロールと砲撃の出力・射程はA s時には、すでに一流の域にあり、強靱なバリア出力と相まって「単体戦闘を行える砲撃魔導師」という戦闘スタイルを確立しつつある状態。 レイジングハート なのはの魔法のステッキ。バルディッシュと同型のインテリジェントデバイス。平時(スタンバイモード)は赤く丸い宝石。普段はペンダントとしてして持ち歩いている。なのはがレイジングハートに呼びかけることで起動する。用途に合わせて、汎用的に使える「デバイスモード」、遠距離射撃を行える「シューティングモード」、ジュエルシードを封印、あるいは大きな魔法を使う際に全力を出して使用する際の「シーリングモード」の三種類の形態に変化「シーリングモード」で、バスター以上の遠距離魔法を放つことが可能になる。第3話で初めて使用。放つ光は、桜色の純粋光。命令をすると、電子音声で返事をする。ユーノの初登場時に、スタンバイモード状態のレイジングハートを手に持ちジュエルシード封印の魔法を唱えていたことから、レイジングハート(インテリジェントデバイス)自体にロストロギアを封印する力があると思われる。なのはの意思とは無関係に自我を持った行為、発現を行うことがあるのでインテリジェントデバイスも一種の魔法生命体だと思われる。 使用魔法 プロテクション Protection 強力な防御障壁を張る Evasion プロテクション? ラウンドシールド Round Shield プロテクションの上位型? フライヤーフィン Flier Fin 足に光の羽が付く、飛行呪文 クラッシュルーフ ディバインバスター ディバィンシュート スターライトブレイカー ディバインバスターのバリエーション。 バインド 捕縛魔法 フラッシュムーブ Flash Move 高速移動? 変形モード スタンバイモード、 シーリングフォーム Sealing form 声優 『とらいあんぐるハート』の番外編として生まれた当初は北都南が声を当てていたが、2004年10月からのTVアニメ版では田村ゆかりが声優を担当している。
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夜、高町家。 ここは道場の一室。 高町家にお世話になってからは、キラがこの一室を宛がわれている。 室内にはキラとなのはとユーノがおり、 三人で囲むように傷ついたレイジングハートを見つめる。 その光はいつもの輝きではなく弱弱しい光を放っていた。 「レイジングハートはかなりの高出力にも耐えるデバイスなのに……それも一撃でここまで破損させるなんて……」 「やっぱりあの時の事が原因……かな」 心配そうに見つめるなのは。 キラがアスランとの交戦中に見た大きな魔力光。 後に聞くと、レイジングハートとバルディッシュが同時にジュエルシードに触れた瞬間に起きたものだという。 最初はあの子のデバイスとの交戦で傷ついたものと考えていたが、それを聞いて考えを一変する。 破損した原因はきっと、ジュエルシードによるものだろうと確信した。 「それで、レイジングハートは……?」 視線をユーノへと向け、なのはも同じように向ける。 「大丈夫、かなり破損は大きいけど……きっと大丈夫」 ユーノは視線を二人からレイジングハートへと向け、二人も同じ様に見つめる。 「今、自動修復機能をフル稼働させてるから……数日で回復すると思う」 「そう、なんだ……」 不安な表情を浮かべるなのは。 「なのはちゃんは、大丈夫?」 「うん……レイジングハートが護ってくれたから……」 「そっか……」 「ごめんね……レイジングハート……」 いつもならここで返答が返ってくるのだが、今はその返事も返ってくることはなかった。 同刻。マンションの一室。 「……ッ!!」 右手に痛みが走る。 「あ、ごめんなさい!痛かったですか?」 「いや、大丈夫だ……」 「でも……」 ジュエルシードの確保し帰宅後、フェイトはすぐにアスランの両手を見た。 見るとひどい火傷をしたように両手はボロボロになっていた。 「これぐらい何でもない」と言ったアスランだったが、 ぎゅっ。と手を握られると。 「…………………………」表情は変わらなかったが、無言で涙目になっていた。 そして簡単ではあるが応急処置を施す。 最後にきゅっと包帯を縛り、テーピングが完成する。 「はい、できました」 「ああ、ありがとう」 包帯で巻かれた両手を見つめるアスラン。 「……フェイト」 「何?」 「……今まであまり気にしていなかったのだが、ジュエルシードって一体何なんだ?」 この手に持ってみて初めてわかった。 あれは、人の手に扱えるようなシロモノではない。 アスランは直感的に悟っていた。 「……すいません、私も詳しくは知らないんです」 「あれを使って、プレシアは何をするつもりなんだ?」 「それもわかりません、ただ集めてくるようにと言われただけですので……」 「そうか……」 「明日一度報告に戻るのでその時に聞いてみましょう」 「……そうだな」 明日プレシアに会うのなら聞いてみよう。そう決めたアスランは考えるのをやめた。 これ以上考えても答えが出ることはないと思ったからだ。 そして何か違和感を感じたアスランは俯いていた顔を上げる。 その視線はアルフへと向けられ、止まった。 先程から何か表情が曇っているままである。 「アルフ?」 「……え?」 こっちの声への反応も鈍い。 「どうした?何かあったのか?」 「あ、いや、何でもないよ……」 「……」 何でもないことはないとわかったが、本人が話さない以上は追求しても無駄だと思い、話題を終わらせることにした。 「それじゃ俺はもう寝るよ、今日は少しばかり疲れたからな」 「うん、おやすみなさい」 「おやすみ」 そしてアスランは自室へと戻っていった。 部屋に戻ってからリビングで何か話し声が聞こえていたが、それを考える前にアスランは眠りについた。 翌朝。 なのははいつもより早く目が覚めてしまった。 布団から出て机の上のユーノへと視線を向けても彼はまだ眠っていた。 (起こすのも可哀想だし……) いつもならもう少し後で魔法の訓練をするところなのだが、生憎レイジングハートは昨日の戦闘で使用できる状態ではない。 よって、本日の魔法訓練は中止なのだが……。 なのはは普段着に着替え、部屋を出て行く。そして向かった先は……道場であった。 姉達はまだ早朝訓練から帰ってきてないので誰もいないと思い、扉を開く。 だが、そこにはすでに先客がいた。 そしてその正面を見ている背中を声を掛ける。 「キラ君?」 呼ばれた本人は振り返り、微笑みながら返答する。 「おはよう、なのはちゃん。どうしたの?こんな朝早くに」 「あ、うん……ちょっと早く起きちゃって……」 「そうなんだ……まぁ僕もそうなんだけどね」 「キラ君も?」 「うん」 少し歩き、壁へともたれ掛かるキラ。 それに続くように隣にもたれるなのは。 それから少し沈黙が続き、意を決した様になのはは口を開く。 「……キラ君」 「ん?何?」 「あれから私考えたんだけど……やっぱり私あの子の事、フェイトちゃんの事が気になるの……」 「……」 キラの脳裏に蘇る金髪の少女の姿。 アスランが行動を共にしているあの子。キラも少し気にはなっていた。 「凄く強くて、冷たい感じもするのに、だけど、綺麗で優しい瞳をしてて……なのに、なんだか凄く寂しそうなの……」 「……うん」 なのはの言葉に素直に耳を傾け、素直に頷くキラ。 「きっと理由があると思うんだ。ジュエルシードを集めている理由……だから私、あの子と話をしたい」 「……理由はわからないけど、少なくとも何か目的があって動いているのは間違いないと思う」 「え?」 キラは昨日のアスランとの会話を話した。 そしてアスランがあの子と一緒に行動している理由も……。 「それを聞いた時は、僕と一緒だって思ったよ。僕もなのはちゃんに助けてもらって、高町家のみなさんに救ってもらったから……」 「……」 「だから、アスランの気持ちもわかるんだ……」 同じ世界から来て、同じように助けてもらって、でも、戦わなくちゃいけない……。 「本当は戦いたくなんかない……だけど、このままじゃ何も変わらないから」 言葉だけじゃ、伝わらない気持ちがあるから。 広げた右手を力強く握り締める。 「……キラ君」 「だから、なのはちゃんも諦めないで」 「……うん」 そして数分後、美由希が早朝ランニングから帰って来る。 「あれ?二人共どうしたの?こんな朝早く」 「「えと、なんとなく目が覚めちゃって……」」 二人の声がハモる。 その事に思わず吹き出す美由希。 それにつられて同じように笑うキラとなのは。 そしてそのまま美由希の修行を見学することになった二人。 同刻。 「おはよう」 「おはよう」「おはよ~」 交わされる朝の挨拶。 これもまた慣れてきた感じがするから不思議なものだ。 「今日は一度庭園へと戻るんだったな」 「はい」 「……」 まただ。昨日と同じくこの話題になるとアルフの表情が曇る。 ただ帰るだけだというのに、そうしてそんなに暗くなることがあるのだろうか? 「プレシアもきっとお前を心配しているだろうから、たまには帰って顔を見せてあげないとな」 「……はい」 「……」 やはり、この時のアルフは何も喋ろうとはしなかった。 朝食後。マンションの屋上に集まる三人。 フェイトが詠唱を始める。空間転移の魔法の詠唱なのだろう。 そしてそれを悲しげな表情で見つめるアルフ。 ……これは一度本気で聞いてみないとダメかもしれないな。 向こうから帰ってきたら聞いてみることにしよう。そう考えた瞬間。 三人は金色の光に包まれた。 眩い光に一瞬目を閉じる。そして次に開けた瞬間。 目の前に広がる景色は一変した。 だが、そこは見覚えのある景色。 この世界に来てから始めて目を覚ました場所。 時の庭園であると、認識した。 「……とりあえず報告を済ませてきますので、二人はここで」 「いや、俺も一緒に行こう。プレシアには聞きたいことがあるからな」 「……」 フェイトはそれに対しての返答を言い渋っていた。 「……アスラン」 それまで黙っていたアルフが突然口を開く。 「……フェイトについてやっててくれないか?」 「?そのつもりだが……」 「……頼んだよ」 その真剣な眼差しと言葉の意味を読み取ることはできなかった。 けれど、あのアルフがここまでいうからには何かがあるのだろうと思った。 そして、 「えっ?」 アスランはフェイトの手を引いて扉に手を掛ける。 「行こう」 「……はい」 扉は開かれ、二人は中へと入っていく。 そして一時間くらい経過した頃だっただろうか。 アルフは扉の前でウロウロと挙動不審に歩き回っていた。 (今日は何も聞こえないから大丈夫だと思うんだけど……) 毎回、扉の向こうから聞こえていた音。 それはとても耳に響く、音と声の不協和音。 聞きたくない、聞きたくない。 そう思い何度耳を塞いだだろうか。だけど、それでも脳裏に焼きついて消えることのない音。 それが、今日はほとんど聞こえない。 それどころか誰も何も話していないんじゃないかと思うくらいに静かで、 聞こえるのは自分の足音のみが広い廊下に共鳴していた。 ギィッ。 「!!」 音の方向に振り返ると、扉が開き、奥から出てくる。 見ると、アスランがフェイトを背中に背負っていた。その姿を見て駆け寄るアルフ。 「アスラン!」 こちらへと顔を向けるアスラン。 「アルフ」 そして一目散にフェイトへと駆け寄るが、当の本人はアスランの背中ですやすやと寝息を立てていた。 「寝てる……」 「ああ、俺がプレシアと話してる間に寝てしまったみたいでな。報告は俺が済ませておいたから問題ない」 「……」 そしてフェイトの身体を見てみるが、どこにも見当たらなかった。 「……ああ、いや何でもないよ」 「?……それより帰るにはどうすればいいんだ?」 「ああ、まかしときなよ。あたしも移動魔法は使えるからさ」 「そうか」 アルフは目を瞑り、詠唱を始める。足元に魔法陣が展開し、アスランもその中へと入っていく。 そして魔法陣が輝き、一瞬にして移動する。 次の瞬間には元のマンションへと戻っていた。 アスランはフェイトをベッドに寝かせ、自室へと戻っていく。 その後、改めてフェイトを見てみるが、やはりどこにもなかった。 アスランにも聞かれたが、言うことはできなかった。 フェイトがあの女に、プレシアに酷い事をされかったか。と あの女がフェイトに対して酷い仕打ちをしていたのは昔からだった。 だが、今回が初めてではないだろうか。 フェイトが"無傷"で帰ってきたのは。 ジュエルシードを集めたから?それとも…… チラと個室のドアへと視線を向ける。 アイツの、アスランのおかげなんだろうか……? 思考を巡らしたアルフだったが、とりあえずフェイトが無事だったことを喜び、考えるのをやめた。 夕刻。 今日はシフト的に休みだったキラとユーノはジュエルシードを探す為に街を散策していた。 そして、つい一時間ほど前から感じる感覚。 もうすぐ発動するであろうジュエルシードの存在を二人は感じていた。 (どう?ユーノ) (……まだ完全に発動してないから正確な位置特定はできませんけど……) (そっか……あ) (?) 突然念話が終わり、正面を見るとこちらに向かって歩いてくる少女が一人。 「おかえり、なのはちゃん」 「おかえり、なのは」 「あ……キラ君、ユーノ君」 呼ばれてこちらに気付き、たたっと駆け寄ってくるなのは。 「二人はジュエルシード探し?」 「うん」 「なのはも感じる?」 「うん……もうすぐ目覚める子がいるのは……」 瞬間。 「「「!!!」」」 大きな魔力の流れが発生する。 感じる。間違いない、これは…… 「ジュエルシードが……」 場所は……ここからそんなに遠くない!! 「行こう!!」 「うん!」 駆け出す三人。 「ユーノ君!レイジングハートは!?」 「持ってきてるけど……まだ完全に修復してないんだ」 「どのくらい修復しているの?」 「まだ60%くらい……これじゃほとんど魔法は使えない」 「そんな……」 落胆するなのは。 「大丈夫。僕がジュエルシードの相手をするから、なのはちゃんは封印をお願い」 微笑みかえすキラ。 「……うん!」 「……あれだ!」 ユーノの声に正面を向き反応する二人。 目の前にある大木が見る見る内に巨大化する。 「レイジングハート!」「ストライク!」 「「セーット、アーップ!!」」 「「Stand by ready setup.」」 各々のバリアジャケットに身を包む。 「ストライク、エールジャケット!」 「OK. エールジャケット」 キラのバリアジャケットの上に形成される赤い色のジャケット。 「封時結界!展開!!」 ユーノの足元に形成される魔法陣。結界が周辺を包んでいく。 「ぐおおおおおおおおおお!!!」 雄たけびのような声を上げながら起き上がる大木。 そして振り下ろされる腕と思われる枝。枝の太さも長さもジュエルシードの魔力で強大になっている。 「二人は下がって!ここは僕が!!」 枝を回避し、上空へと上がるキラ。後方へと大きく下がるなのはとユーノ。 ライフルを構え、トリガーを引く。 発射される複数の魔力弾。だが、 「バリア!?」 魔力弾は大木の前に発生した障壁のようなものに弾かれて消滅する。 そして地面から複数の枝が出てきて、一斉にキラへと襲い掛かる。 「!!」 ライフルを腰にマウントし、肩のサーベルを引き抜く。 ザシュッ!ザシュッ!! 無数に襲い掛かる枝を次々に切り刻んでいくキラ。 だが、枝は切っても切っても次から次から出てくる。 「くそっ!これじゃキリがない!!」 何とかして大木本体に攻撃しないと……そう考えていると、 「イージス」 『スキュラ、バースト』 ドオンッ!! 「!!」 突然上がる声と魔力砲。 正面の大木の上空からの攻撃。大木はバリアを張り、これを防ぐ。 「アスラン……!」 見上げる上空に、右手の魔法陣から魔力砲を発射しているアスラン。 そして正面を見ると、スキュラに耐えている大木。 『今です、マスター。ランチャージャケットを』 「え?……うん、ストライク!ランチャージャケット!!」 『OK.Change、ランチャージャケット』 赤いジャケットが光を帯び、緑色へと形成変化する。 そして背面の大型バスター『アグニ』を正面の大木へと向ける。 「ストライク!」 『アグニ、バースト』 ドオンッ!!という音と共に発射される魔力砲。 これもバリアで防ごうとする大木だったが、バリィンッ!!と音を立てて崩れる障壁。 二つの魔力に耐え切る事が出来なくなり、バリアは破壊され、二つの魔力に飲み込まれる。 そして、一瞬眩い光が辺りを包み、 次の瞬間には大木は消滅し、ジュエルシードのみがそこに浮かぶ。 「「!!」」 反応する二人。だが、即座にブレーキを掛ける。 「……ジュエルシードには衝撃を与えない方がいいみたいだ」 チラとアスランがフェイトのバルディッシュへと視線を向ける。 「……昨日みたいな爆発が起きるかもってことだね」 同じくなのはのレイジングハートを見るキラ。 「……キラ、大人しく引いてくれないか……?」 「……それが出来るなら、とっくにそうしてるよ」 「そう、だな……なら仕方ない」 『サーベルシフト、ライトアーム』 イージスの言葉の後に発生する魔力刃。 「……アスラン。君は何でジュエルシードを集めているの?」 「……」 無言だが、表情が少し強張るアスラン。 「僕の憶測でしかないけど、あれはとても危険なものだと思う。君はそれを使って何をしようとしてるんだ?」 「……お前には関係ない」 「……そう。なら……ストライク!ソードジャケット!!」 『OK.Change、ソードジャケット』 緑色のジャケットが今度は青く変化する。そして肩の大剣『シュベルトゲベール』を持ち、正面へと構える。 「……僕が勝ったら、聞かせてもらうよ」 「……」 お互いを見据える両者。そして、同時に動く。 「「はあああああああああっ!!!!!」」 振り下ろされる二つの刃。 ぶつかり合うと思った、次の瞬間。 二人の空間に発生する何か。そこから出てきた誰かは二人の攻撃を防御魔法で防ぐ。 「ストップだ!ここでの戦闘は危険すぎる!」 「「!!!」」驚愕の表情を浮かべる二人。 そして突然の第三者の出現に驚く四人。 「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」 突然現れた第三者は自身の名と身分を明かした。 「時空、管理局……?」「執務官……?」 自分達の知らない単語に?マークが浮かぶキラとアスラン。 「まずは二人とも武器を引くんだ」 ゆっくりと降下し、地面に足をつける三人。 「このまま戦闘行為を続けるなら…!!」 突如感じる魔力反応。反応のある方向へと向く三人。 上空から降り注ぐ複数の魔力の矢。狙いは、クロノへと向けられていた。 「ッ!!」かざした手から発生する障壁でそれを弾くクロノ。 魔力の矢の発生源、その先にはアルフがいた。 「アスラン!撤退するよ!離れて!!」 「!!!」 続けて発射される矢。今度はクロノではなく、手前の地面を狙う。 命中した矢は爆発し、煙が上がる。後方へと回避するクロノとキラ。 二人よりも先に反応したアスランは上空へと飛翔し、 (何とかジュエルシードを……!!) そう思い空のジュエルシードへと手を伸ばす。 が、 今度は地面からの青い魔力弾。 「くっ!!」 回避しきれずシールドで弾くアスラン。だが、衝撃のせいで大きく離れてしまう。 「アスランッ!!」 フェイトが叫び、駆け寄ろうとする。 爆煙の中から出てくるクロノ。構える杖の先に発生する魔力が発射されようとした 瞬間。 「待って!!」 「!!」 間に割り込んできたのは、キラだった。 「待ってくれ!撃たないで!!」 「キラ君!?」 だが、それに一番驚いているのは他ならぬアスランだった。 (どうして……俺を……) 「今の内だ!行くよ!!」 その言葉に続き、三人は夕焼けの空へと消えていく。 「あ……」 そしてその姿はどんどん小さくなり、見えなくなってしまった。 「クロノ、お疲れさま」 突如現れた魔法陣に浮かぶ女性の映像。 「すみません、片方は逃がしてしまいました」 「うん、まぁ大丈夫よ。でね、ちょっとお話を聞きたいから……そっちの子達をアースラに案内してあげてくれるかしら」 「了解です、すぐに戻ります」 消える魔法陣。そしてこちらを見るクロノ。 驚きの表情のままのなのはとキラ。 「さて、詳しい事情を聞かせてもらいたい。とりあえず僕達の船まで一緒に来てくれないか」 「僕達の……船?」なのはが聞き返す。 「ああ」 そしてクロノに従うまま転移し、彼のいう『船』の中へとワープする。 カツカツと前を進むクロノ。それに続くキラ、なのは、ユーノ。 (ユーノ君……ここって一体……)キョロキョロしながら挙動不審に進むなのは。 (時空管理局の次元航行船の中、だね)なのはと違い真っ直ぐトテトテと進むユーノ。 (次元、航行船?)先を行くクロノの後を進むキラ。 (えと、簡単にいうと、いくつもある次元世界を自由にする、その為の船) (あ、あんま簡単じゃないかも……) (えと、なのはの暮らしている世界の他にも幾つも世界があって、僕達の世界もその一つで……) (じゃ、僕がいた世界もその一つ……なのかな) (そう、ですね。その狭間を渡るのはこの船で、それぞれの世界に干渉しあうような出来事を管理しているのが、彼ら時空管理局なの) (そうなんだ……)(……) そして目の前の扉が開く。 振り返るクロノ。 「ああ、いつまでもその格好というのも窮屈だろうから、バリアジャケットとデバイスは解除して平気だよ」 「あ、そっか」「そう、ですね」 バリアジャケットを解除し、なのはは学生服、キラは私服へと変わり、それぞれのデバイスも待機モードへと変化する。 「君も、元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」 「ああ、そうですね。ずっとこの姿でいたから忘れてました」 「「?」」首を傾げるなのはとキラ。 パァァッ。とユーノの身体が光り始め、 「「へ?」」 光が消えた後、そこにはなのはと同年代くらいの少年がいた。 「ふう、キラさんには初めてですれど、なのはにこの姿を見せるのは二回目になるのかな?」 呆然としたままカタカタ震えるなのはと開いた口が塞がらないキラ。 「え、え、え、え、え、……」 「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!??」 なのはの叫びはアースラ内に響き渡った。 「なのは?」 何故そんなに驚いているの?といった表情で見るユーノ。(と思わしき少年) 「ユーノ君てユーノ君て、あのその、何?え?だ、だって、その、嘘?ふぇぇぇぇぇぇっ!!!」 首を振ったり、指を指したまま腕を上下させたりと。なのはは混乱していた。 「……君達の間で、何か見解の相違でも……?」 クロノが不思議そうな表情で見つめる。 「…………」 そしてキラは未だに開いた口が塞がっていない。 「えと、な、なのは?僕達が最初に出会った時って、僕はこの姿じゃ……」 「違う違う!最初からフェレットだったよ~!!」 そう言われて頭の中の記憶を辿っていくユーノ。そして答えを導き出す。 「あーっ!!あ、そ、そうだそうだ!ごめんごめん、この姿を見せてなかった……」 「だよね!?そうだよね!?びっくりしたぁ……」 ゴホン。と咳き込む会話に割り込むクロノ。 「その、ちょっといいか」 「「ん?」」 「君達の事情はよく知らないが、艦長を待たせているので、出来れば早めに話を聞きたいんだが……」 「あ、はい」「すみません……」 「では、こちらへ……」 クロノの後を着いて行く二人。そこで気付く。 「あれ?キラ君?」 「……はっ!?」 呼ばれてようやく意識を取り戻したキラ。 「ご、ごめん」 タタッと三人に駆け寄るキラ。そして歩みを再会する。 「……僕、この世界に来て」 「?」 「魔法の存在にも驚いたけど……今さっきの事が一番驚いたよ……」 うんうんっとなのはが首を縦に振って激しく同意してくれていた。 そして一つのドアの前で止まるクロノ。 機械的な音と共に開くドア。 「艦長、来てもらいました」 その扉の向こうに広がる景色。それは余りにも異色過ぎた。 機械的な壁面とは裏腹に、並べられた盆栽。中央に置かれた茶具。そしてコトンと音を立てる竹の音。 そして中央に座る緑色の髪の女性が笑みを浮かべながら正座している。 「お疲れ様。まぁお三人ともどうぞどうぞ、楽にして」 「は、はぁ……」 今日これで一体何度驚いたことだろうか。あっけに取られた表情のまま返答するキラ。 でも驚くのはこれからであった。 緑色の髪の女性、リンディさんとクロノという少年を交えた話で初めて知った事。 ロストロギアと呼ばれる失われた遺失世界の遺産の存在。ジュエルシードもそれに含まれる事。 そして……ジュエルシードの危険性も。 「ではこれよりロストロギア、ジュエルシードの回収については時空管理局が全権を持ちます」 「「「えっ!?」」」 「君達は今回の事は忘れて、それぞれの世界に戻って元通りに暮らすといい。」 突然の発言に表情が変わる面々。 「でも、そんな……」 「次元干渉に関わる事件だ。民間人に介入してもらうレベルの話じゃない」 「でも!」 それでも引き下がらないなのは。 「まぁ、急に言われても気持ちの整理がつかないでしょう。今夜一晩ゆっかり考えてみんなで話し合って、それから改めてお話をしましょう」 「送っていこう。元の場所でいいね」 クロノが立ち上がろうとする。 「待ってください」 それまで話を聞いていたキラが口を開く。 「何かしら?」 「あの、僕の話を聞いてもらえないでしょうか……」 「?」 そしてキラは話し始める。自分の事、元の世界の事を……。 「そう……それじゃあなたは元の世界からこの世界に転移してしまったという事ね」 「確かに何かの事故に巻き込まれて別の世界に転移することは稀にあることだ。君の元の世界の事もこちらで調べておこう」 「あ、はい……」 「……」 クロノに促され、元の公園に戻ってくる三人。 もう夕焼けが沈みかけ、暗くなってきている。 「とりあえず、帰ろうか」 「うん……」「そうですね」 キラの言葉に続くなのはとユーノ。やはり先程のこともあってか二人とも少し元気がない。 そして人間状態からフェレットへと戻る(?)ユーノ。 まあその姿でないと高町家に戻って、「実は僕がユーノなんです」っていうわけにいかないしね。 帰路に着く三人。 そして、これからを考えなくてはならない。自分達がどうするか……を……。 同刻。 「ダメだよ、時空管理局まで出てきたんじゃもうどうにもならないよ……」 「……」 無言で俯くフェイト。 「逃げようよ……三人でどこかにさ……」 「それは……ダメだよ……」 顔を上げて否定するフェイト。 「だって!雑魚クラスならともかく、あいつ一流の魔導師だ……本気で捜査されたらここだっていつまでばれずにいられるか……」 重なる不安。 「あの鬼婆、あんたの母さんだってわけわかんないことばっか言うし……フェイトにだって……」 ひどいことをした。そう言おうとしたがその口をフェイトに止められる。 「母さんの事、悪く言わないで」 「言うよ!だってあたし……」 ガチャと開く扉。向こう側からアスランが入ってくる。 「どうした?電気も点けないで……」 カチとボタンを押すと天井の蛍光灯が光を帯び、部屋を包む。 「アスラン……」 「アスラン!フェイトを説得してやってくれ!!」 「説得?」 アルフは今自分達が置かれている状況を話す。 時空管理局。それは数多の次元世界を管理する司法機関のようなもので、 先程の戦闘に介入してきた少年。彼は時空管理局に所属する魔導師であるとの事。 「だから、いっそ三人で」 「……フェイト、君はどうしたい?」 振り返り、フェイトへと視線を向ける。 「……私は、逃げたくない」 「フェイト!!」 「だって、私達が逃げちゃったら、母さんが一人になっちゃうから……」 「あたしは、フェイトに笑って、幸せになって欲しいだけなんだよ……なのに、なんでわかってくれないんだよぉ……」 いつのまにかアルフの両目から涙が零れていた。 そしてその涙を拭うフェイト。 「ありがとう、アルフ。でも私、母さんの願いを叶えてあげたいの……母さんの為だけじゃない、きっと、自分の為」 ポンとフェイトの頭に手を置くアスラン。 「……アスラン?」 「……約束、してくれないか?」 「?」 「君の母さんの、プレシアの為ではなく、君は君の為に、フェイトはフェイトの為に頑張る。と」 見開く目。真っ直ぐに見つめるその瞳はとても悲しいものに見えた。 「……」コクと首を縦に振る。 「なら、最後まで俺は君を護るから。だから、最後まで頑張れ」 「アスラン……」 アスランはフェイトの頭から手を離し、視線をアルフへと向ける。 「アルフ、すまない。俺は君の要望に答えられない」 「アス、ラン……」 「だけど、俺も約束する。フェイトは俺が必ず護る」 「……約束だよ」 「……ああ」 笑顔で答えるアスラン。 だが、フェイトは感じ取っていた。 その笑顔が、とても悲しげな笑顔だと……。 夜。 高町家、なのはの自室。 「……だから、僕達もそちらに協力させて頂きたいと……」 レイジングハートへと語りかけるユーノ。その向こうはアースラとの通信が繋がっている。 「協力、ね……」 「僕はともかく、なのはとキラさんの魔力はそちらにとっても有効な戦力だと思います。 ジュエルシードの回収、あの子達との戦闘……どちらにしてもそちらとしては便利に使える筈です」 「うん、なかなか考えてますね。それならまぁいいでしょう」 それまで聞いていたリンディが顔を上げ返答する。 「か、母さ、艦長!!」 思いも寄らない返答に思わず言葉を間違えそうになるクロノ。 「手伝ってもらいましょ、こちらとしても切り札は温存したいもの。ね?クロノ執務官」 「はい……」 渋々だが了承するクロノ。だが、リンディの言う事も間違ってはいない。 「条件は二つよ。三人共身柄を一時、時空管理局の預かりとすること。それから指示を必ず守る事。よくって?」 「……わかりました」 高町家、台所。 夕食後の後片付けを桃子とキラと一緒にしているなのは。 (なのは、キラさん、決まったよ) ユーノからの念話が飛んでくる。どうやら管理局との話がついたようだ。 (うん、ありがとう。ユーノ君)(ありがとう、ユーノ) 「それじゃ母さん、俺と美由希は裏山に出かけてくるよ」 恭也が冷蔵庫から水の入ったペットボトルを出す。 「今夜もまた練習?」 「うん」 体を解しながら返事する美由希。 「気をつけてね」「気をつけて」 なのはとキラに言われて二人は「ああ」「うん」と返答する。 そして二人は台所から出て、玄関を出て走っていく。 ちょうどそれと同じくらいに片付けが終わる。 「さ、これでおしまいっと」 最後のお皿を棚にしまい、ガラス戸を閉める桃子。 「それじゃ僕は道場に戻ります」 「あ、はーい」 キラも台所を後にする。そしてなのはとすれ違い様に (頑張って)と念話を飛ばす。 バタンと閉まるドア。 「……さて、お母さんに大事なお話って何?」 「……うん」 言わなくてはならない、これからの事を。 心配をかけることになっても、決めた事だから……。 そして意を決し、口を開くなのは。 ガラッ。と道場の扉を開けるキラ。 「すみません、お待たせしてしまって……」 「いや、構わないよ。それで、俺に話って何だい?」 キラは目の前の人物、士郎に話しを始める。 自分の失われた記憶。その手掛かりを見つけた事。そして、自分を知る人物の事を……。 魔法や自分の世界の事は話すわけにはいかなかったが、嘘と真実を混ぜた話を話す。 「なるほど、そのアスランって子は君の事を知っていると」 「はい、僕の友達だって言ってました……」 「ふむ……それで、どうするんだい?」 「……彼についていってみようと思います」 「……そうか」 「まだ僕自身はっきりとした記憶が戻っていないんですけど、でも何となく彼を知っている感じがするんです……」 「……」 「それで、もしついて行く事になったら、その……翠屋の仕事を……」 休まなくてはならない。それが一番苦しい事である。 だが、身柄を時空管理局で引き取られるということは、少なくともここにはいられないという事。 「……休まなくてはならないってことか」 「……はい」 自分勝手な我侭を言っているのは自分でも重々承知している。 でも、今ここで引き下がるわけにはいかないんだ。 「……キラ君」 「はい」 「君は、自分の過去について怖いと思ったことはあるか?」 「……」 思い出される戦争の日々、MSに乗って、ザフトの兵士を討つ日々。 正直、思い出したくもない過去である。 「……怖い、です」 キラはそんな自分が嫌で嫌でしょうがなかった。友達を護る為、クルーを護る為、アークエンジェルを護る為。 その為に敵を討ち、自分の手を血で染めていく。もうたくさんだと思うことは山程あった。 過去を思い出し、悲しみが支配しつつあるキラの両肩を士郎は両手で掴んだ。 「過去から、逃げたらいけない」 「……え?」 「どんなにつらい過去でも、それは君であることには間違いないんだ。過去からは逃げることはできない。 それに例え過去に君がどんな人間だったとしても、」 「今の君は、翠屋の店員、キラ・ヤマト君なんだから」 「士郎、さん……」 「だから、過去の自分の事で押し潰されそうになったら、俺達と過ごしたこの数週間を思い出してみてくれ。 そうすれば、君は今のままでいられる。」 いつしかキラの目から涙が零れ落ちていた。 「ほらほら、男の子が泣くな!」 バシィッと背中を叩く士郎。 「それに、もう決めたことなんだろう?大丈夫、翠屋ならどうにかするさ」 「……すみません」 「でも、一つだけ約束してくれないかな」 「?」 「ちゃんと無事に帰ってくる事。君に何かあるとなのはやみんなが心配するからな。 それに君はもうウチの家族の一員だと俺は思っている。多分俺だけじゃない。 なのはや母さんや恭也や美由希も、みんな君の事を大事な家族だと思っているさ」 「……」 嬉しかった。素直にその言葉しか出てこなかった。 こんな自分を、家族の一員だと言ってくれたその言葉が。 とても、とても嬉しかった。 「はい……ありがとう……ございます……」 止まらない涙。だけど、その涙の感情は、とても心地よかった。 そして、同じく桃子に事情を説明し、準備が出来たなのは。 荷物を持ち、玄関へと出ると。そこには既に待っていたキラがいた。 視線を交わし、三人は夜の闇を掛けていく。
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自動修復機能 レイジングハート・バルディッシュらインテリジェントデバイスには、自己の破損を自動修復する機能が備わっている。 修復までの時間は、破損の深さと術者が与える魔力量で変化する。今回、ユーノ・フェイトともに、魔力を消費しての高速修復は選択しなかったようである。 ユーノはなのはの体を気づかって、フェイトは探索・封印のための魔力を温存するためと思われる。 ディバインバスター 戦闘開始直後から上空に回避、距離を取っていたことから、なのはは自らの魔法特性を理解しはじめているようである。 一撃必殺の「大威力砲撃」。それこそが、なのはの魔法特性を最大に生かす武器である。 強制割り込み 術者が対象に接触して行う極めて強引な「封印」である。 発動したジュエルシードの暴走した魔力がフェイトの最大魔力を上回っていた場合には命の危険もあった、非常に危険な方法である。 フェイトのバリアジャケットの一部であるグローブをたやすく破壊していたことからも、その危険性が伺える。 アークセイバー ♯4で使用したものと比較して、刃の部分が巨大化しているのが見てとれる。 一撃で、対象の攻撃手段である根の切断とバリアへのダメージと言う二種の目的を同時にこなしていることから、 フェイトの「攻撃」に関するセンスが確かなものであることが確認できる。
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マツダ ユーノス コスモ 20B TYPE-E CCS '94 メーカー マツダ 英名 Mazda Eunos Cosmo 20B TYPE-E CCS '94 年式 1994 エンジン 20B-REW タイプ ロードカー カテゴリー N300 PP(初期値) XXX 総排気量 654cc×3 最高出力 280PS/6,500rpm 最大トルク 41.0kgfm/3,000rpm パワーウエイトレシオ 5.86kg/PS 駆動形式 FR 吸気形式 TB 全長 4,815mm 全幅 1,795mm 全高 1,305mm 車両重量 1,640kg 重量バランス XX対XX トランスミッション 4速 ダート走行 可能か不可能のいずれか 登場 グランツーリスモグランツーリスモ2 備考 V型12気筒並みの滑らかさを持つという、量産市販車唯一の3ローターRE搭載車。そのエンジンがアメ車真っ青の燃費の悪さを誇った……。 概要 マツダ・ユーノスコスモは、1990年に登場したユーノスブランドのフラッグシップモデルで、キャッチコピーでは「クーペ・ダイナミズム」と呼ばれている。マツダ初のロータリーエンジン搭載車である「コスモスポーツ」や、70年代を代表するロータリーセダンの「コスモAP」と同じ「コスモ」の系譜を継ぐ存在。このクルマの最大のトピックスは、量産車としては初の3ローターのロータリーエンジン「20B-REW」を搭載した自動車であるという事である。 マツダは、「V型12気筒エンジン並みの滑らかさを実現した」と宣伝していたが、その肝心のエンジンの燃費は非常に劣悪であったとされ、一説によれば市街地で良くて1リットルあたり3キロしか走らないとか。燃費の悪さで悪評高いアメ車も真っ青である。 このせいで「この車のガソリン代を払い続けるよりも、タクシーに乗っていった方が安上がりだ」と言われたり。ガソリン代が軒並み高騰し続けている事で、低燃費車が好まれている現在の感覚では信じられないような感覚のクルマである。 その燃費の悪さの影響とマツダの多チャンネル戦略の失敗もあってか、たった6年のみの生産に終わってしまった。この車もバブル期の狂気が生んだ一台と言えよう。なお、ミッションはMT搭載モデルの設定も予定されたが、20Bのトルクに耐えられるMTミッションが当時のマツダには存在しなかった為、全グレード4速ATのみの設定だった。 ちなみに、3ローターエンジンはツインターボが効く領域に入ると獰猛な加速を見せるなど、走りのポテンシャルを見てかチューニングベースとしても少なからず重宝されている。アフターパーツが少なく、1.6トンという車体の重さや4速ATしか無いなど難点も多い。 グランツーリスモ2以降の作品には収録されていないが、後に登場したグランツーリスモオリジナルの車両である マツダ RX-7 LMレースカー にはこのユーノスコスモ用の3ローターREが搭載されていた。 解説 世界初かつ西側諸国唯一の3ローター搭載車、そしてマツダが新設した『ユーノス店』のフラッグシップモデルとして登場したユーノスコスモ。バブル期のマツダを象徴する一台ともされる程豪華装備を満載して、1990年4月に登場した。 なんと言っても目玉は世界初の3ローターエンジンである『20B-REW』を搭載した事だろう。『マツダエンジニアの夢だった』『V12並みに滑らかに回るエンジン』『3ローターに因んで333馬力で登場予定だった』等数々の逸話が残っているが、このエンジンは燃費が悪い事でも有名。カタログ値は6.9km/Lとなっているが、実際はそれと同等か更に下、メディアによっては「リッター3キロの超高燃費車」と紹介されることもあり、市街地走行での実際の燃費は2km/Lを維持するのが精一杯で、条件によっては『1Km/L以下』にまで悪化することもあった。 また忘れ去られがちなのが、世界初のGPSカーナビゲーションシステムである『CCS』を一部グレードに標準装備した事。三菱電機と共同開発したこのカーナビは、エアコンの操作もカーナビの液晶から行うという、現代では当たり前となった装備を初めて採用した車両とされる。 その他にも、内装に設られた木目パネルはイタリア産が採用されたり、内装一帯が繋がるような滑らかな曲線のダッシュボード等、あらゆる面でフラッグシップモデルを意識させる内容となっている。また、開発中だった装備として液晶透過率可変式サンルーフの搭載を目論んでおり、市販車にも専用の回路が組み込まれたが、耐久性やノイズ処理がいまくいかなかった事や販売後にマツダの業績が悪化した事もあり開発が頓挫した経緯を持つ。 また3ローターターボはターボラグが酷く、ATとのマッチングの悪さや、「全開加速をすると燃料系の針が下がっているように見える」と言われるほどの燃費の悪く、バブル崩壊とマツダの業績悪化に加え、いつしか『走る不良債権』と呼ばれるようになり壮大な失敗作に終わった。 登場シリーズ グランツーリスモ マツダの中古ディーラーで購入可能。値段は個体により変動する。やはり4速ミッションしか無いのと重量が重い事、純粋なスポーツカーと違い足回りもソフトめなので、手を加えた方が良いだろう。フルチューン+レーシングモディファイを施せばなかなか速い。 ちなみに、「メガスピードカップ」にもライバルとして出場しているユーノスもいる。 グランツーリスモ2 同じく中古ディーラーで購入可能。元の車体の重さはどうにもならないが、レーシングモディファイとかで少しでも軽くした方が良い。ノーマルのままで保ちたいなら、軽量化ステージ3+フルカスタマイズトランスミッション、サスペンション、ブレーキもがっつり強化すると良い。 関連動画集 コメント 初代グランツーリスモでコイツをフルチューンしてレーシングモディファイも施していけばなかなか速かったり。GT7で復活したら787Bのエンジンをスワップしたりとか出来たら良いよなぁ。 -- (名無しさん) 2023-06-27 21 42 29 逆にコイツのトルクフルな20BをRX-7系統に持って来るのも…でもフロントミッドの身軽さが損なわれるか -- (名無しさん) 2024-02-21 07 36 41 名前 コメント すべてのコメントを見る
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Reconquista(後編) ◆HlLdWe.oBM 明日香にとって先程の光景は理解しがたいものばかりだった。 突然光と突風と共に瓦礫が飛んで来て死ぬかと思ったら、フェレットのユーノが人間に変身した。 そしてユーノが目の前に緑の盾を出して、それを何とか凌ぎきった。 ここまではまだ一応明日香にも何とか理解できる範疇だった。 フェレットのユーノが人間に変身して魔法の盾で自分達を守ってくれたのだろうと思っていた。 だが次に起こった事は明日香にとって最も衝撃な事だった。 ルーテシアがユーノを刺したのだ。 「なによ、いったい!?」 明日香は必死に走りながら誰もいない森の中に疑問を投げかけていた。 ルーテシアが持っていたウィルナイフは明日香が身に付けているガオーブレスに内蔵されていたものだ。 先程の騒動の隙に引き抜かれていたのだろうが、そんな事はもうどうでも良かった。 何より明日香には分からない事があった。 それはルーテシアがユーノを刺した動機だ。 病院への道中で何とか聞き出した内容によればユーノとルーテシアは自分達に会うまでずっと二人きりで、その間は特に言うべき事はなかったらしい。 実際明日香達と出会った時のルーテシアとユーノは一緒で、それは先程までも変わらない事だった。 しかも直前にユーノは自分達の命を救ってくれたばかりだ。 そんなルーテシアにとって同行者であり恩人であるユーノを刺す理由が全く明日香には理解できなかった。 もしかしてユーノが人間になれる事を隠していたからかとも一瞬思ったが、その程度では大した理由ではないとすぐに否定した。 結局はルーテシアが答えてくれない事には何も分からないが、ルーテシアが返してきた答えは単純だった。 ――願いを叶えるためにこの地にいる全員を皆殺しにするからだ、と。 それで明日香にもルーテシアの行動の意味は一応理解できた。 最後まで生き残れば願いを叶えるとプレシアは先程の放送で宣言した。 だから魔が差してルーテシアがあんな行動を取る可能性は十分にある。 だがそれでも明日香には未だに分からない事があった。 それはルーテシアの眼だ。 (なんで、なんであんな事をしておいて、そんな目をしていられるのよ!) ルーテシアの眼はユーノを刺したにもかかわらず大して変化がなかった。 寧ろ眼というよりは表情といった方が適切かもしれない。 人を殺すと決めた顔にしては今まで明日香が見てきた顔とどこも違わない。 それが逆に恐れを生んでいた。 ルーテシアが感情を露わにして殺そうとすれば、それはどこにでもいる殺人者の姿だ。 だが無表情で何の感傷も抱いていないように淡々と行動するルーテシアは普通とは違う恐怖があった。 いつのまにか頭の中で腹を刺されたユーノが。 首を吹き飛ばされたアリサが。 天上院明日香の姿と重なっていた。 (殺される! 私も、ユーノみたいに――殺される!?) ルーテシアの凶行を見せつけられて明日香は徐々に冷静さを失っていた。 かつてエグリゴリのエージェントに対して某赤帽子の傭兵は人間の心理について次のように述べた。 『人間の冷静な判断力を失わせるには、恐怖と怒り……たった二つの感情を操作してやればいいのだよ!』 元グリーンベレーで都市における心理戦の専門家でもある彼の言う事はもっともだ。 人間とは許容範囲を超えた感情をコントロールする事を不得手とする傾向がある。 もちろん平時ではそのような事態に陥る事はほとんどないだろうが、ここでは違う。 通常なら殺し合いという異常事態の中で特別な経験を積んでいない者は混乱して当たり前だ。 平時と同様の精神でいる事など土台無理なのだ。 天上院明日香は普通の一般人とは違ってデュエリストとして死闘を潜り抜けてきた経験はある。 だがそんな経験はこの状況下では脆かった。 しかも明日香は直前まで殺し合いの場にも関わらず、そのような危険な目には一切遭わずにここまで来た。 それはつまり殺し合いという場において殺し合いとは無関係な安全な場所にいたという事だ。 それがいきなりこのような急転直下の事態に陥れば冷静な判断などできるはずなかった。 だからあの場から逃げた。 それは人間の本能に従った結果だった。 そこに冷静な判断も一人だけ逃げるという罪悪感もない。 明日香の中にあったのはルーテシアという恐怖から一刻も早く逃れたいという欲求だけだった。 それはまるで恐怖という化け物に矜持を奪われたかのようだった。 どれくらい逃げただろうか。 瓦礫が散らばる市街地を抜け、土埃が舞う平野を抜け、閑散とした林を抜け、鬱蒼と茂る森を抜け―― I-7の南端からA-7の北端にループした事にも気づかぬまま走り続けて―― 「はぁ……あぁ……はぁ……ぅ……うぁ……」 ――ようやく明日香の足が止まった。 どれくらい走り続けたのか分からなかった。 辛うじて分かった事は近くにルーテシアはいないという事だけだ。 前方に湯気が立ち上る建物が見えるが、今はどうでも良かった。 同時に今まで張り詰めていた緊張が解けて身体の力が一気に抜けた。 その影響で手からデイパックを取り落として、ようやくデイパックが3つある事に気付いた。 手数が増えればそれだけ取れる選択肢は多くなり有利になるというデュエルで言う手札的感覚で取って来たのだ。 それは無意識の内に働いた思考の結果だった。 「ん、これって……」 ふと落ちたデイパックに目を遣ると中から青い宝石が零れている事に気付いた。 明日香はそれが何なのか知っていた。 それは放送の前に皆の支給品を確認し合っていた時にユーノが説明してくれたものだった。 「ジュエルシード、でもこれを使えば……」 ロストロギア指定を受けた次元干渉型エネルギー結晶体であるジュエルシード。 持ち主の願いを叶えるが危険な代物で間違っても使ってはいけないらしい。 明日香はそれを拾い、次いでデイパックの中から取り出した夜天の書と交互に眺め始めた。 その眼には暗い影が宿っていた。 夜天の書もジュエルシードと共にユーノから説明を受けた代物であった。 「このジュエルシードの力で夜天の書を使えば、私もなのはさん達みたいに魔法を使う事が……」 明日香はふとなのは達が魔法を使っている様子を思い出していた。 あの力が自分にもあれば皆を助けられる、ルーテシアのような危険な人物にも正面から立ち向かえる。 今のままの何の力もない状態ではそのうち仲間諸共殺されるしか想像できなかった。 だから、明日香はジュエルシードを―― 【1日目 朝】 【現在地 B-7 温泉付近】 【天上院明日香@リリカル遊戯王GX】 【状態】健康、疲労(大)、チンクへの疑念、ルーテシアへの恐怖心 【装備】ガオーブレス(ウィルナイフ無し)@フェレットゾンダー出現! 【道具】支給品一式×3、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、夜天の書@魔法少女リリカルなのはStrikerS、バリアのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、トバルカインのトランプ@NANOSING、ゾナハカプセル@なのは×錬金 【思考】 基本:殺し合いには乗らない。仲間達と合流してプレシアを打倒する。 1.ジュエルシードを―― 2.ルーテシアから離れる。 3.ゾナハ……って何? 【備考】 ※転移魔法が制限されている可能性に気付きました。 ※万丈目にバクラが取り憑いている事を知りません。 ※チンクの「万丈目に襲われた」という情報は、嘘か誤りだと思っています。 ※トバルカインのトランプが武器として使える事に気付いていません。 ※ユーノの本当の姿はフェレットであり、ルーテシアに殺されたと思っています。 ※I-7からA-7にループした事に気付いていません。 ※明日香がジュエルシードをどうするかは後続の書き手にお任せします。 ▼ ▼ ▼ 人を癒すはずの病院の姿は既にそこにはなかった。 二度のエンジェル・アームの発動によって完膚なきまでに崩壊したそこにあるのは、少し前までは病院だった瓦礫の山だ。 既に病院を崩壊させた張本人であるヴァッシュは絶望の中で幽鬼のように当てもなく去って行った。 だからここにはもう生きている者など一人もいないはずだ。 しかし、そんな瓦礫の山が突如として蠢き始めた。 瓦礫の山の麓に散乱する大小様々な形の瓦礫で出来た小さな山々。 そのうちの一つが鳴動している。 微かだった振動は徐々に大きくなっていき、やがてその瓦礫の小山は崩れ去った。 その中から出てきたのは灰色のコートに身を包み右目に眼帯を付けた銀髪の少女チンクだった。 「く、は! 危ない所だった、ハードシェルが間に合って助かった」 あの時、間一髪で身に迫る危険を察知して病院の窓から飛び出した時、エンジェル・アームは放たれた。 運が良かった事にチンクが飛び出した窓は南側でエンジェル・アームが放たれた北西とは逆に位置する場所だった。 そのために直接エンジェル・アームの光に巻き込まれずに済んだ。 だが被害を回避するためにランブルデトネイターでラオウの兜と残っていた工具全てを消費してしまった。 最初に兜の大爆発で距離を作り、続けて工具の小爆発で瓦礫を破砕して、あとはシェルコートを使用してのハードシェルで耐えきった。 もともと施設の大爆発にも耐える程の高硬度を誇るものだが、ここでは制限のために耐えきる自信はなかった。 だが現実にチンクは耐えきり、こうして再び地面の上に立つ事ができる。 「これは、なんという有様だ」 病院があった場所には成れの果てである瓦礫の山ができていた。 もちろん病院内にあった死体はどれも無事な状態で残っているとは思えない。 ディエチも例外ではなく、それらの死体はもう弔う事は永久に出来ない状態になってしまった。 「……ディエチ」 チンクは在りし日のディエチの姿を思い返していた。 だが思い返せば思い返す程に懐旧の想いは募るばかりであった。 そして同時に自分の不甲斐なさも痛感するのだった。 自分がガジェットを使って不用心にあのようなメッセージを出したせいでディエチは死んでしまったと悔恨の念が絶えない。 出来る事ならプレシアが放送で言っていた褒美でディエチを生き返らせて、もう一度会いたいと思う。 クアットロやルーテシアが死んでも生き返らせればいいとさえ思える。 だが、それが正しいのかチンクには判断が付かなかった。 「なぜだろうな、ディエチ。姉は、お前がそんな事を望まないような気がしてならない」 なぜそう思うのかチンク自身にも分からない。 ただあの死に顔を見ているとなんとなくディエチは満足して死んでいったような気がしてくるのだ。 だからあのまま静かに眠らせてやった方がディエチのためにもいいのではと思える。 「姉はどうすればいいんだろうな」 そんな答えが返ってくるはずもない問い掛けを風の中にする。 幼い身体に比べて長めの銀髪を風の流れるままに任せながらチンクは静かに考えに耽っていた。 あの病院が目の前にある瓦礫の山に化したのかと感慨深げに眺めていると、瓦礫の中に何か埋もれているのを見つけた。 興味を抱いて近づいて見ると、それはボロボロになって所々罅が入った紫と黒を基調とした大剣・大百足だった。 そして近くにはその持ち主だと思われる人物、正確にはその人物の首があった。 金髪の髪の下にある顔はチンクにとって見覚えのある顔だった。 「……フェイト・T・ハラオウン。貴様も死んだのか」 これで見知った死体を見るのは三度目という事もあってか、もう特に思う事はない。 そしてしばらくしてチンクは何を思ったのか大百足を拾い上げると、その場に刺した。 まるでフェイトの墓標のように見えるが、チンクはそんなつもりで刺したのではなかった。 チンクは刺した大百足に背を向けると、ゆっくりと歩き出した。 一歩、一歩、一歩、一歩、少しずつ大百足との距離は広がっていった。 そして一度立ち止まって振り返ると、その場で回れ右の要領で大百足の方に顔を向けた。 「距離はギリギリだな」 チンクはデイパックからナイフを一つ取り出すと、いつものように構えた。 新品同様のナイフとは対照的に大百足は少しの衝撃で壊れそうな程にボロボロだった。 「もしナイフを投げて剣が壊れれば殺し合いに乗ろう。壊れなければ殺し合いには乗らない。ディエチ、お前が選べ」 チンクはそのナイフに、亡きディエチに、己の道筋を決めさせるつもりだった。 剣が壊れるか否かは……ディエチに決めてもらいたかった。 そんな事は非科学的だと分かっていてもこうするのが一番気持ちの面ですっきりすると思ったのだ。 「では、いくぞ!」 裂帛の気合と共にナイフはチンクの手を離れて大百足へと吸い寄せられるように飛んでいった。 そして勢いを落とさぬままナイフは―― 【1日目 朝】 【現在地 H-6 病院跡地】 【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、疲労(中)、ディエチの死に対する悔恨 【装備】バニースーツ@魔法少女リリカルなのはStrikers-砂塵の鎖-、シェルコート@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、料理セット@オリジナル、翠屋のシュークリーム@魔法少女リリカルなのはA s、被験者服@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本:姉妹と一緒に元の世界に帰る。 1.剣が壊れたら殺し合いになる、壊れなければ殺し合いに乗らない。 2.姉妹と合流した後に、レリックを持っている人間を追う。 3.姉妹に危険が及ぶ存在の排除、及び聖王の器と“聖王のゆりかご”の確保。 4.クアットロと合流し、制限の確認、出来れば首輪の解除。 5.Fの遺産とタイプ・ゼロの捕獲。 6.天上院を手駒とする。 【備考】 ※制限に気付きました。 ※高町なのは(A’s)がクローンであり、この会場にフェイトと八神はやてのクローンがいると認識しました。 ※ベルデに変身した万丈目(バクラ)を危険と認識しました。 ※大剣・大百足は後一撃加われば壊れるかギリギリの状態です。 ▼ ▼ ▼ ルーテシアが今まで無関心だったデスゲームに乗るきっかけとなったのは明日香の話だった。 病院へ向かう途中で明日香はこちらの関心を引こうと今までどこにいたかを話していた。 その中にスカリエッティのアジトが出てきたので、一つ質問をしてみた。 ――生体ポッドの中に何かあったか、と。 明日香はその質問に「何もなかった」という答えを返してきた。 その瞬間、ルーテシアの気持ちは決まった。 最初ルーテシアはアジトが自分の知っているアジトだと思っていた。 だが明日香の話に出てきたアジトにはあるはずのものがなかった。 生体ポッドの中で眠っているはずのメガーヌ・アルピーノ、ルーテシアの母親だ。 それがいないという事はつまり―― (――プレシアの言っている事は正しかった?) ルーテシアはここへ転送される前の事を思い出していた。 皆が転送された部屋に何故か一人取り残された自分。 壇上から降りて来て自分に近づいてくるプレシア。 普通に話せる所まで近づいてきたプレシアはある事実を話し始めた。 曰く、ここへ集められた人々や建物はそれぞれ別々の世界から集めたので本物はルーテシアのいた世界で元気でいると。 それからプレシアは殺し合いを円滑に進めるために皆を殺して回ってほしいと言ってきた。 ここにいるのは全て別の世界の人なので殺しても元の世界に戻れば問題ないとも付け加えていた。 それを聞いても別に何も思わなかった。 たぶん急な展開に頭が追い付いていなかったのだろう。 そのうち反応が乏しい事に気付いたプレシアが唐突に不思議な事を言った。 ――私は死んだ人でも生き返らせる事が出来るのよ、と。 そしてこちらの首にある首輪を指差すと、なぜか首輪が甲高い電子音を鳴らし始めた。 その音が耳障りになって鬱陶しいと思っていると、 ――ボン 首輪が爆発した。 自分の首が宙を舞って視界が回る様子はなぜか鮮明に映った。 そしてルーテシア・アルピーノは死んだ。 だがすぐにルーテシア・アルピーノは生き返った。 それは目の前にいたプレシアの力のおかげだと当の本人は言っていた。 そしてプレシアが続けて言った言葉は強く心に深く刻まれた。 ――最後の一人になれば母親を復活させてあげる、と。 それは青天の霹靂のような言葉だった。 思わず理由を、なぜ自分にそんな事を言うのか尋ねてみた。 プレシアは少し悲しそうな表情を顔に浮かべて呟いた。 ――似ているのよ。母親を失ったルーテシアが自分と似ている、と。 そして、その言葉を最後に私はついに会場へと転送された。 「プレシアの言っていた事は本当だった、だからあの言葉も正しい」 先程出会ったキース・レッドという男はなぜか自分を知っていた。 おそらくプレシアが言っていた別世界の自分と知り合いなのだろう。 ルーテシアはそう判断した。 あの時は無闇に相手を刺激しないように最低限の受け答えのみだったから確信はないが、あの話振りだとそうとしか考えられない。 それなら名簿に名前が二つ載っている機動六課の3人にも説明がつく。 つまり別々の世界から連れて来られているのだ。 だからゼストやナンバーズも自分の知る彼らとは違う事になる。 「だから、大丈夫」 皆殺しを目指す事にしたが、今の状態でキース・レッドに敵うと思えず、あの場は手を出さずに状況を静観する事にした。 そして状況は思わぬ方向に転がったが、それはルーテシアにとって悪くないものだった。 だから別れる時にキース・レッドとブレンヒルトに自分が転送される直前の出来事を教えておいた。 いろいろ上手い具合に生かして支給品を貰ったのでそのお返しのつもりだった。 それを聞いた二人はひどく驚いていた。 特にキース・レッドは何やら深刻そうな表情を浮かべたが、すぐに不敵な笑みを浮かべていた。 最初はプレシアの言う事が半信半疑だったのでレリックを手に入れようとしたが、もうそれに拘る事はない。 自分だけでできそうなら迷わず殺しに行くが、自分の力で敵わない相手に向かって行こうとは思わない。 自分では敵わない相手は他の人に任せればいい。 そうやってここにいる全員を殺して本当の皆のいる世界へ帰る。 それがルーテシアの新しい目的になった。 もちろんプレシアが約束を守るなら最後の一人になって母の目を覚ます事ができる。 そうすれば自分にも「心」が生まれる。 「待っていてね、母さん」 母への誓いを胸にルーテシアは先の取り決め通り北へ向かって行った。 元々スカリエッティのアジトを目指していた事もあり、一度自分の目で確かめたいと思った事が理由だった。 キース・レッドから渡された物はイフリートというモンスターの召喚マテリアだった。 元々は既に死んだ高町なのはに支給されたものだったが、もちろんキース・レッドもルーテシアもそんな事は知らない。 この道具は召喚士である自分に適しているように思われる。 差し当たっての問題は上手く扱えるかどうかだが、それはこれから考えたらいい。 一応ナイフと銃も持っているので心配はそれほどない。 「……それとキャロ・ル・ルシエ」 キャロ・ル・ルシエとエリオ・モンディアル。 自分と同じ召喚士とそのパートナー。 この二人はルーテシアの中ではある意味特別な存在になっている。 自分と同じ召喚士でありながら仲間や家族に恵まれているキャロと、その隣にいるエリオ。 (負けない、ガリューや白天王がいなくても負けない!) それは幼い時には誰もが持つ対抗心と言われるものだが、ルーテシアにはそこまで理解できていない。 だからその対抗心が某戦闘機人のせいで暗い嫉妬に変貌しつつある事にも気づいていない。 エリオ亡き今その負の感情はキャロに向いていた。 【1日目 朝】 【現在地 G-7】 【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、疲労(小)、キャロへの嫉妬 【装備】マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ウィルナイフ@フェレットゾンダー出現! 【道具】支給品一式、召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、エボニー(10/10)@Devil never strikers、エボニー&アイズリー用の予備マガジン 【思考】 基本:最後の一人になって元の世界へ帰る(プレシアに母を復活させてもらう)。 1.どんな手を使っても最後の一人になる(自分では殺せない相手なら手は出さずに他の人に任せる)。 2.北へ向かい、スカリエッティのアジトへ一度行って生体ポッドの様子を確かめる。 3.一応キース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探してみる(半分どうでもいい)。 4.一応18時に地上本部へ行ってみる? 5.もしもレリック(刻印ナンバーⅪ)を見つけたら確保する。 【備考】 ※ここにいる参加者は全員自分とは違う世界から来ていると思っています。 ※プレシアの死者蘇生の力は本物だと確信しています。 ※ユーノが人間であると知りました。 ▼ ▼ ▼ 「ふふふ、なかなか便利だな。だが、使用は控えておくか」 キース・レッドはサンライトハート改の推力で山吹色のアーチを宙に描きながら川を越える事に成功していた。 最初は役に立たないと思っていた金属板は意外にも攻撃・防御・移動・回復と便利な物である事を改めて感じていた。 だが過度の使用は禁物だ。 ARMSのように何か制限が掛かっているかもしれない。 それにあまり使い過ぎるとそれだけ誰かに目撃される可能性が出てくるので、そうなれば肝心な時に対処される可能性がある。 しかも本来はキース・レッドのものではないので、本来の持ち主と出会えば最悪返り討ちになる事もある。 そのような事態を避けるためにもサンライトハート改を使うのは控えたほうが賢明だ。 普段は待機状態で回復の促進に回して、ここぞという時つまり戦況を変える時にこそ使うべきだろう。 キース・レッドは待機状態に戻した核鉄を眺めながらそんな事を考えていた。 「気掛かりはルーテシアが言っていたプレシアとの会話だ。ここにいるシルバーが私の知っているシルバーではない、か」 もしそれが本当ならここにいる必要はない。 今すぐにでも参加者を皆殺しにしてプレシアの力で元の世界へ返してもらえばいい。 もしそれが嘘なら今のまま行動しておけばいい。 先の取り決め通り中央付近でキース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探しながら18時に地上本部へ行けばいい。 つまりはどちらにせよ、これからの行動に然して変更はない。 敢えて言うならこれから新しく出会う参加者への対応だ。 開口一番にキース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』について知っている事を聞き出すとして、その後どうするのか。 殺すか、捜索者にするか。 役に立つなら捜索者に仕立て上げ、役に立たないなら殺す。 キース・レッドはこれを基本にしようと考えていた。 もちろんその場で臨機応変に対応した結果、最も良さそうな手を講じるが。 「シルバーよ、今度こそ貴様の身に刻んでやる。我が最強のARMS、グリフォンをな」 【1日目 朝】 【現在地 H-6 川の畔(北側)】 【キース・レッド@ARMSクロス『シルバー』】 【状態】健康 【装備】対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(3/6)@NANOSING、.454カスール カスタムオートマチック(6/6)@NANOSING、核鉄「サンライトハート改」(待機状態)@なのは×錬金 【道具】支給品一式×5、ジャッカルの予備弾(18発)@NANOSING、レリック(刻印ナンバーⅦ)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪×2(神崎優衣、高町なのは(A’s))、ヴァッシュのコート@リリカルTRIGUNA s、S2U@リリカルTRIGUNA s、ランダム支給品0~2(元カレン、『ベガルタ』『ガ・ボウ』ではない) 【思考】 基本:キース・シルバー(アレックス)と戦い、自分の方が高みにある事を証明する。 1.中央に向かいシルバー(アレックス)及び『ベガルタ』『ガ・ボウ』の捜索。 2-1.出会った者にシルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』について知っている事を聞き出す。 2-2.聞き出した後、役に立ちそうならシルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探すようにさせ、役に立たないなら殺す。 3.1及び2を邪魔するものは容赦なく殲滅する。 4.できるだけ早く首輪を外したい。 【備考】 ※キース・シルバーとは「アレックス@ARMSクロス『シルバー』」の事だが、シルバーがアレックスという名前だとは知りません。 ※神崎優衣の出身世界(仮面ライダーリリカル龍騎)について大まかな説明を聞きました。 ※自身に掛けられた制限について把握しました。 ※白刃の主をヴァッシュだと思っています。 ※サンライトハート改は余程の事がない限り使う気はありません。 ※ルーテシアの話の真偽についてはどうでもいいみたいです。 ▼ ▼ ▼ 市街地から少し離れた林の中に作られた畑。 今は一面雑草だらけの場所は本来なら季節によってさまざまな食物を提供してくれる場所だ。 そんな畑の隅に寂しく建っている小屋の中に魔女と魔導師がいた。 1st-Gの魔女ブレンヒルト・シルトとミッドチルダの魔導師ユーノ・スクライアだ。 だが、どうやら現在進行形で風向きが怪しい様子だ。 「やっぱりここへ向かう途中から意識があったのね。で、気絶した振りをして年頃の女性に背負われた気分はどうなの? ふふふ、さぞかしいい気分だったでしょう……いい度胸ね」 「あ、その事に関しては、その、ごめん。だから、笑顔で拳を振り上げるのは如何なものかと」 「……怪我していなかったら腹に一発ストレート入れていたところなのよ、あの娘に感謝するのね」 「今のって笑うところなのかな」 先の取り決めでルーテシアは北へ、キース・レッドは中央へ、ブレンヒルトは南へつまりこの付近で捜索をする事になった。 あの場を凌ぐための苦肉の策だったが、余計なタイムリミットが課せられたのは失敗だった。 本来ならその場だけの嘘方便で後は適当にやり過ごすつもりだったが、これでそうもいかなくなった。 それでもユーノを連れる事は出来たので一段落付いたとブレンヒルトは自分を納得させていた。 「それより傷の具合はどうなの。見たところ、すぐに動けそうにないみたいだったけど」 「うん、今はヒーリングを掛けているから刺された直後よりはマシだよ。でも、やっぱり動くにはもう少し時間が……」 「別に良いわ。その間に聞きたい事もあるから。あなたのいた世界や魔法の事、このデスゲームの事。分からない事が多すぎるのよ。」 「それは、僕に分かる範囲なら……」 「それでいいわ。よろしくね、スクライア」 「こちらこそ、よろしく、ブレンヒルト」 ブレンヒルト・シルトとユーノ・スクライア。 この二人の邂逅は果たしてデスゲームにどのような影響を及ぼすのだろうか。 今はまだ誰にも分からない。 「そうだ、しばらくフェレットの姿になるね」 「ん、フェレットが本当の姿なの?」 「いや断じて違うから! 人間の姿が本当の僕だから! フェレットの姿の方が怪我の治りが早いんだ」 「ふーん、そうなの」 「うん、じゃあ――」 「へぇ、凄いものね。あっという間にフェレットの姿に、あ、落ち――ッ!?」 「――ッイタ!! ベ、ベッドの位置を考えていなかったなあ。ブレンヒルト、悪いけど僕をベッドの上まで上げて……あ」 今の状態を説明するとこうなる。 板張りの床にはフェレット状態のユーノが落ちていて、そこからベッドに戻してくれと上を見ながらブレンヒルトに頼んでいる。 一方のブレンヒルトは賢石の消費を抑えるためにバリアジャケットを解いて、今は制服姿でベッドの近くに立っていた。 幸か不幸か視線を上げたユーノの目に飛び込んできたのは―― 「ええ、いいわよ。 今度は落ちないようにしっかり私が持つから安心して大丈夫よ……もしかしたら力加減を間違えちゃうかもしれないけど! 下着を見られた怒りでどうにかなるとかないと思うから安心して!!」 「え、ちょ、ま、傷、傷が、あ、あ、あ、アッー!!!!!」 【1日目 朝】 【現在地 H-8 畑の隅にある小屋】 【ブレンヒルト・シルト@なのは×終わクロ】 【状態】健康、ユーノへのお仕置き中 【装備】1st-Gの賢石@なのは×終わクロ、バルディッシュ・アサルト(カートリッジ4/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、双眼鏡@仮面ライダーリリカル龍騎、首輪(矢車)、ランダム支給品0〜1 【思考】 基本:ここからの脱出。 1.スクライア、乙女の恐ろしさを知りなさい! 2.スクライアが動けるようになるのを待ちながら今後について話し合う。 3.残り15人になったら車庫の中身を確認してみる(信用できる人以外に話す気はない)。 4.キース・レッドとの約束は一応守るつもり。 5.戦闘には極力関わらない。 6.フェイトの生い立ちに若干の興味。 【備考】 ※自分とバルディッシュに共通する知人に矛盾がある事を知りました(とりあえず保留、別世界の可能性を考慮)。 ※キャロ、金髪の青年(ナイブズ、危険人物と認識)、銀髪の青年(殺生丸)の姿を遠くから確認しました。 ※車庫を無理に開けようとすれば首輪が爆発すると思っています。中身は単体で状況を変え得る強力な兵器だと思っています。 ※ルーテシアの話の真偽は保留。 【ユーノ・スクライア@L change the world after story】 【状態】魔力消費大、腹に刺し傷(ヒーリング中)、ブレンヒルトによるお仕置きタイム、フェレットに変身中 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本:なのはの支えになる。ジュエルシードを回収する。 1. アッー!!!!! 2.怪我の治療をしながらブレンヒルトと今後について話し合う。 3.なんでルーテシアは僕を刺したんだろう。 4.Lや仲間との合流。 5.首輪の解除。 【備考】 ※JS事件に関連した事は何も知りません。 ※プレシアの存在に少し疑問を持っています。 ※ルーテシアがマフィアや極道の娘だと思っています。 ※ルーテシアに刺されてから小屋に着く途中まで気絶していたのでルーテシアや明日香がどうなったのか知りません。 ▼ ▼ ▼ 「ようやく動き出したのね」 薄暗い部屋の中で一人プレシアは呟いた。 空間モニターが発する仄かな光に照らされた顔には微かに笑みが浮かんでいた。 そこにはプレシアとの一件を話すルーテシアの姿が映っていた。 あの時プレシアがルーテシアに言った事は嘘ではない。 ルーテシアの母を復活させるためにレリックを捜す様子が在りし日の自分と重なったのは事実だ。 だが、そんな事はほんの些細な事でしかない。 プレシアがルーテシアを一度殺した真の理由――それはルーテシアが使役している召喚虫に他ならなかった。 ルーテシアを殺す事で一度それらの召喚虫との繋がりを断ち切って、使役主をプレシアにする事が本来の目的だ。 もしも万が一首輪と制限が解除された時のための保険、不測の事態の際の戦力にするつもりだ。 他の召喚士にキャロという少女もいたが、ルーテシアの方が持ち数の面で勝っていた。 それが決め手となった。 「さて、これからどうなるのかしらね」 プレシアは嬉しそうに画面の向こうで繰り広げられるデスゲームを観察するのだった。 その手にはルーテシアを生き返らせた道具である時間を巻き戻すカード――『タイムベント』のカードが握られていた。 ▼ ▼ ▼ 全てを失った場所でもう一度掴むものは唯一つ。 守りたかったものはもう二度と離さない。 見失わずに、振り返らずに、必ず取り戻すから。 【全体備考】 ※駅の付近(線路の先)に中身不明の車庫があります。『残り15人になるまでこの扉は決して開かない。もし無理に開けようとすればそれ相応の罰を与えようではないか』という注意書きを書いた立札が入口前に立っている。 ※H-6病院から離れた場所に壊れたガジェットドローンⅠ型が転がっています。 ※工具セットとラオウの兜はランブルデトネイターで消費されました。 【召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 炎の魔人であるイフリートという召喚獣を召喚する事が出来るマテリア。 敵全体に炎でダメージを与える「地獄の火炎」という技を使う。 片翼の天使本編では同じく召喚獣のタイタンとバハムートと三匹掛かりでセフィロスに襲いかかり、秒殺された。 詳しい制限は後続の書き手にお任せします。 Back Reconquista(中編) 時系列順で読む Next せめて哀しみとともに 投下順で読む Next 渇いた叫び(前編) ブレンヒルト・シルト Next 明日に架ける橋 ユーノ・スクライア Next 明日に架ける橋 ルーテシア・アルピーノ Next Burning Dark(前編) チンク Next せめて哀しみとともに 天上院明日香 Next 湯けむり旅情!夜天の書 キース・レッド Next 誇りの系譜(前編)
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みらいのにっき 作者:ID Cz8Eh2V6 新暦210年○月□日 今日は、むげん図しょ館の見学にみんなで行きました。 そしたら、とても大きなところでびっくりしました。 たぶん、ちじょうほんぶのとうと同じくらいあるんじゃないかと思いました。 ナノハのお父さんはここではたらいているんだけど、まいごにならないかなと心配しました。 ここはむかし、ナノハのおじいちゃんのおじいちゃんが作ったらしいです。 こんな大きなたてものを作ったなんてとてもすごいと思いました。 むげん図しょ館では、デバイスでしらべものをすることができました。 先生の言ったとおり、むかしのえらい人とベルカでしらべてみました。 せい王っていう人たちがたくさん出てきました。 この人たちは、こだいベルカの王さまらしいです。 でも、一つへんなことがありました。 お母さんとおなじ、ヴィヴィオって名まえの人がたくさんいたことです。 その中の1人だけ、ナノハとおなじ、スクライアっていうみょうじでした。 先生が、ヴィヴィオって名まえはこだいベルカではよくあった名まえだと教えてくれて、なぞがとけました。 でも、ほかのひとはおなじみょうじだったのにひとりだけちがったみょうじだったのかはわかりませんでした。 そのあと、ふざけてナノハの名まえでしらべてみました。 そしたら、なのは・たかまち・スクライアって人が出てきました。 このひとはなのはのおじいちゃんのおばあちゃんだった人みたいで、そんな人がえらい人でしらべて出てきたのにおどろきました。 むかしナノハとおなじ名まえの人といとこのユーノくんとおなじ名まえの人がふうふだったってことがわかって少しうれしかったです。 でも、おじいちゃんのおじいちゃんのユーノっていう人はおくさんがいっぱいいたみたいでした。 ユーノくんのばか。 図しょ館のあん内をしてくれたシャッハお姉ちゃんとトータさんにおれいを言って帰りました。 新暦210年○月×日 今日は、いとこのギンガお姉ちゃんと、はとこのミユキちゃんちにおとまりしました。 ミユキちゃんちはむかしのものがたくさんあっておじいちゃんのおじいちゃんたちのものもたくさんありました。 クライドお兄さんが写真を出してきてくれてせつめいしてくれました。 おじいちゃんのおじいちゃんたちのけっこん式はいろいろあったそうで、ブーケを投げるっていうゆう名なことわざができたらしいです。 ブーケを投げるなんてこわいことばがなんでけっこん式でできたんだろうと思いました。 ほかにも、おじいちゃんのおじいちゃんがはっくつしたいせきの写真とか、おじいちゃんのおじいちゃんがはじめてせいじかになったときの写真とかがありました。 そうしたら、話しすぎてたみたいでスズカおばさんにおこられてしまいました。 ナノハ・バニングス・ナカジマ・グラシア・アコース・タカマチ・スクライア 14スレ SS
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三原新弥 SKY-X時 年齢:16歳 職業:公立風芽丘商業高等学校・一年生 出身:第97管理外世界(現地惑星名称「地球」)極東地区日本・海鳴市 ゆうきの小学校時代の親友だったが両親の離婚により小学6年生の夏休みに転校してしまう。 中学卒業後に再び海鳴市に戻り風芽丘商業高校に通う。 そこで知り合ったあまつと友人になり、それがきっかけでゆうきと再会することになる。 学力は平均レベル。家族や友人を大切にする、とてもまっすぐな性格。 小学生の頃に失恋しているらしく、ゆうきにその過去を掘り返されると怒る。 運動音痴のゆうきとは逆に運動は得意。 ちなみに左利き。 ある人物との出会いが彼の運命を大きく変えることになる…。 StrikerS時 年齢:19歳 出身:第97管理外世界(現地惑星名称「地球」)極東地区日本・海鳴市 魔法術式:古代ベルカ式 魔導師ランク:総合SSランク 魔力光:黄色 デバイス:ショーテル・カリバー デバイス種別:アームドデバイス 特技・特記事項:魔力変換資質「電気」、古代ベルカ魔王ソレイユ・ベルセルク転生体 古代ベルカの魔王ソレイユ・ベルセルクのもう一人の転生体。 スカリエッティの手により狂戦士覚醒(ベルセルクトランス)する。 新弥の記憶はイデアシードによって完全に消し去られている。 ゆうきの狂戦士覚醒態(ベルセルクトランスモード)と同様に皇帝の鎧を身にまとい、クロックムーブを使用できる。 新矢の身体能力の高さも相まって、その戦闘能力はゆうきを圧倒する。 地上本部襲撃の際にゆうきと戦闘、戸惑うゆうきを容赦無く攻撃し戦意を喪失させる。 その後、なのはやクロノの言葉で迷いを振り切りゆりかご内部に突入したゆうきに襲いかかる。 ショーテル・カリバーは、レイジングソウルのデータを元に制作されたアームドデバイス。 サウンドステージX時 年齢:22歳 所属:時空管理局本局(無限書庫) 役職:無限書庫司書 出身:第97管理外世界(現地惑星名称「地球」)極東地区日本・海鳴市 魔法術式:近代ベルカ式 魔導師ランク:総合Aランク 魔力光:蒼色 デバイス:ショーテル・カリバー デバイス種別:アームドデバイス 特技・特記事項:魔力変換資質「電気」、古代ベルカ魔王ソレイユ・ベルセルク転生体 古代ベルカの魔王ソレイユ・ベルセルクのもう一人の転生体。 ゆりかご内部での戦闘の際、狂戦士の人格は消え去るが新弥の記憶が戻ることはなく記憶喪失のまま。 記憶が戻る可能性は非常に低い。 自分のことを心配してくれるゆうきやフェイトに感謝している。 現在はユーノに誘われ、無限書庫の司書として働いている。 強力な魔力資質を持つため武装隊に誘われたこともあったが、これは本人が断っている。 しかし、魔法戦が嫌いというわけではなく、休日にはユーノやゆうきと一緒に魔法の練習をすることもある。 ViVid時 年齢:23歳 所属:時空管理局本局(無限書庫) 役職:無限書庫司書 出身:第97管理外世界(現地惑星名称「地球」)極東地区日本・海鳴市 魔法術式:近代ベルカ式 魔導師ランク:総合Aランク 魔力光:蒼色 デバイス:ショーテル・カリバー デバイス種別:アームドデバイス 特技・特記事項:魔力変換資質「電気」、古代ベルカ魔王ソレイユ・ベルセルク転生体 ゆうきの親友で無限書庫の司書。 司書長のユーノやアルフ、ヴィヴィオともすっかり仲良くなった。 フェイトとゆうきからカルナージへの旅行に誘われ一緒に行くことになる。 現地での試合はフェイトやティアナと同じ赤組チーム。 Force時 年齢:25歳 所属:時空管理局本局(無限書庫) 役職:無限書庫司書 出身:第97管理外世界(現地惑星名称「地球」)極東地区日本・海鳴市 魔法術式:近代ベルカ式 魔導師ランク:総合Aランク 魔力光:蒼色 デバイス:ショーテル・カリバー デバイス種別:アームドデバイス 特技・特記事項:魔力変換資質「電気」、古代ベルカ魔王ソレイユ・ベルセルク転生体 ゆうきの親友。 ユーノ達と共に無限書庫で働く。 新たな事件に立ち向かうゆうき達のことを心配している。
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ちょっと夜更かしが過ぎた翌日。 朝の光が目映い中、僕はフライングボディアタックで起こされた。 「ユーノパパあああああああああああ!」 「ぐえええええええええええええええ!……って、ヴィヴィオ。いきなりどうしたのさ。あ、その前におはようヴィヴィオ」 僕が挨拶すると、ヴィヴィオははっとして僕の胸の上でちょこんと正座する。 そしてぺこりと頭を下げた。 「おはようございます、ユーノパパ」 ヴィヴィオ程度ならちょっと息苦しいけど、なのはだったら死んだかも。 と思っていると、頭を上げるなりヴィヴィオはぷうっと頬を膨らませてぽかぽか胸を叩き出した。 「な、なに?」 「パパとママはずるいいいいいいいいいい! ヴィヴィオを置いてお花見にいったんでしょ? ヴィヴィオも行きたかったよおおおおおおおおお!」 「ありゃりゃ。誰に聞いたの?」 「おばあちゃんとおじいちゃん」 「あーあのふたりか。口止めしてたわけじゃないしなあ。でもねヴィヴィオ。夜、僕がこっちに着いた時にはもう寝てたでしょ。起こすのも悪いし、夜遅くにヴィヴィオを連れ出すのもだめだし、仕方なかったんだよ」 「……ママも同じこといってた」 「ぐっすり寝てる可愛い娘を無理やり起こすなんて、僕もなのはもできなかったんだよ。ごめんね」 実はヴィヴィオに話した理由は微妙に嘘だったりする。 予定到着時間はなのはと示しを合わせました。たまにはふたりっきりでって言うなのはの言葉に負けた。いやあえて負けた。 それにね、ヴィヴィオ。 パパはさすがに娘の前であんな風にママに甘えるのはどうかと思うんだよ。 父親の威厳というか意地というか……本当の親じゃなくても、ヴィヴィオが無邪気に慕ってくれてると自然とそんなものを感じてしまうみたいなんだ。 改めて、ごめんねヴィヴィオ。 「……うー。でもずるい」 拗ねてしまった愛娘の頭をかいぐりかいぐり撫でる。 あれ、でもこの様子だとなのはから何も聞いてないのかな。 こうなるかもしれないと思って、昨夜予定を立ててたのに。 さっきまで寝ていた布団には自分以外誰もいない。一緒に寝ていた相手はとっくに起きているらしい。 多分、今頃あれの準備しているんだと思うんだけど……よし、確認してみるか。 「その代わり、今日はずっとヴィヴィオと一緒にいるからね。昨日の埋め合わせもするよ。なのはから何か聞いてる?」 「ママから? ううん」 「朝ごはんの時に言おうと思ってたんだ」 さっきヴィヴィオが入ってきたドアのところから、いつの間にかいたなのはが言う。 「やあ。おはようなのは」 「おはよう、ユーノ君」 「同じような目に遭ってただろうに、ヴィヴィオに言ってあげなかったんだ」 「驚かせたかったのと、こうした方がユーノ君も一発で起きるかと思って。目、覚めたでしょ?」 「それはもう覿面にね。ありがとうなのは」 くすくす笑うのがちょっぴり憎い。 まあ、確かに僕の寝覚めは悪いけどさ。僕の皮肉めいた言葉なんてどこ吹く風なんだね。いいけどさ。 そんなやり取りの中、ヴィヴィオは不思議そうな顔をして首を傾げている。 知ってる前提で話してる僕たちの話は、そりゃあわけわかんないよね。 僕は半身を起こすと、ヴィヴィオを腕に抱いて教えてあげた。 「なのはと昨日話してたんだ。明日は、つまり今日はヴィヴィオと一緒にお花見しようねって。ヴィヴィオが昨日のことを聞いた時、なのはは何かしてなかった?」 「うーんと……お料理してたよ。なんだかいっぱい」 「それはね、これから食べる朝ごはんの分と、お花見の時に食べるお弁当を作ってくれてたんだと思うよ。そうだよね、なのは」 「うん。ヴィヴィオの好きな物もユーノ君の好きなものもたくさん入れたから、楽しみにしててね」 僕の傍らに膝をつくと、なのはは愛娘のほっぺたをつんと指でつつく。 みるみる喜色に彩られるヴィヴィオの顔は見物だった。 「嬉しい! ありがとうママ、パパ!」 ヴィヴィオの両手がそれぞれをぎゅっと抱き寄せる。子供らしい加減を知らない力ゆえか、僕となのはは思いっきり額をぶつけていい音をさせてしまった。 でも声はあげないでおく。 それよりも喜んでくれるヴィヴィオが可愛くて、それから嬉しくて仕方なかったから。 「ねえ、なのは」 洗面所に向かいながら、僕はヴィヴィオの手を引いてダイニングに行きかけたなのはに声をかける。 ヴィヴィオを先に行かせてから、なのはは答えた。 「なあに、ユーノ君」 「お弁当、ちゃんとなのはの好物も入れた?」 「え? まあそれなりに。それがどうかしたの?」 「昨日のお返ししたいから、確認しただけだよ」 「お返しって、昨日何かしたかな」 首を傾げるなのはに、僕はちょっとだけ意地悪に言った。 「昨日は食べさせてもらったから、今度はなのはに食べさせてあげるよ」 「えっ、ちょ、それは……恥ずかしいよお。昨日と違ってヴィヴィオがいるんだよ」 「もちろん、なのはだけじゃなくてヴィヴィオにもしてあげるんだよ。昨日の埋め合わせ込みなんだからね。ヴィヴィオがしてくれたら、僕は躊躇いなく喜んで食べさせてもらうつもりだよ。なのはもでしょ?」 「そっ、そりゃあヴィヴィオがしてくれるんなら……」 「じゃあ、僕がしても問題ないよね。それとも嫌なの?」 あー意地が悪い。 僕は意地が悪い。 たまに、言っても許してくれる相手限定(クロノ?なにそれ?なのはと同列なわけないじゃないか)だけど。 「いっ、嫌じゃないけどっ、でも」 「仲良し親子じゃ不満なら、二人きりの時にしようか」 「そっ、それはそれでなんだか物凄く恥ずかしいから」 「ああいえばこう言う。なのはは我が儘だなあ。参るよ」 「それはこっちのセリフだよ! ゆーのくんのいぢわるううううううううう」 まるでさっきのヴィヴィオみたいに僕の胸をぽかぽか叩くなのは。 きりっとしてるなのはも甘やかしてくれるなのはもいいけど、こういうなのはもいいよね。 いや、なのはならなんでもオッケーなんだけどさ。 さりげなく背中に腕を回してこっそり引き寄せて、そのままキスでもしようかと思ったんだけど。 「はいはーい。そこ、いい加減に朝っぱらからラブラブな痴話喧嘩切り上げて。ユーノ君はさっさと顔を洗う! なのははお味噌汁を運ぶのを手伝う!」 「わわわっ! もっ、ももも桃子さん!」 「うひゃっ! おおおおおおっお母さん!」 ドアの隙間から桃子さんが見ていたなんて、正直気づきもしませんでした。 二人きりなら平気でも、他者の目があるとなれば話は別。 そうでした。ここはなのはの部屋でも僕の部屋でも司書長室でもホテルでもなく、海鳴市にある高町家の一室でした。 「まったくもー。なかなかこないから見に来てみれば……仲が良いのは結構だけど、皆待ってるんだから迷惑かけないの!」 「……はい」 「……ごめんなさい」 「あと、いい加減に離れなさいってば」 「「あ」」 そういや、びっくりして思わず抱き合ってるな僕たち。全然気づかなかった。恥ずかしいなあ、もう。 「じゃ、じゃあユーノ君、後でね! お、お母さんいこっ!」 オーバーアクションでぱっと腕を解くと、耳まで首まで真っ赤にしたなのはが桃子さんの肩を掴んでぐいぐい押すようにして出て行く。 あー桃子さんがなんだか楽しそうになのはをからかってる声が聞こえるな。なのは、可哀想にどもりまくりだよ……って、何かにぶつかったみたいだ。 そんなに動揺しちゃったんだね。 さっき軽くだけどおでこをぶつけたし、あまり痛くしてないといいな。 そんなことを思いながら、僕は洗面所に向かった。 END
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ノイズ交じりの念話からは、もう悲痛な同僚の悲鳴しか返っては来なかった。 出来ることなら、出せる限りの悪態を吐いてしまいたい気分だ。『畜生』『くそったれ』『ファック』……汚らしいスラングは山と湧いてくる。酷い状況の時こそ人間は負の感情を吐き散らしたくなるのだ。 しかし、それさえも過ぎれば―――もうあとは誰も彼もこう言うしかなくなる。 ああ、『神よ』―――と。 「神よ……」 ティーダもまたそうだった。 右手に握る銃型のデバイス。数々の修羅場を共に潜ってきた長年の友を、手のひらから噴き出す汗で取り落としそうになる。 銃身は小刻みに震え、あたかもティーダ自身の今の心境が相棒にまで伝わっているようだった。 今、ティーダが感じているのは、紛れもない『恐怖』だった。 「畜生! 化け物、化け物めっ!!」 「来るなぁ、来るなよぉおおーーー!」 「助けて、たすけ……!」 空戦魔導師の舞台である空は、今や血染めのダンスホールと化していた。 飛行魔法で高速移動するティーダの耳に届く、文字通り四方八方からの悲鳴。 それらが全て同じ部隊の戦友が生きながら喰われる声だと理解して尚正気でいられるのが、彼自身にも不思議でならなかった。 違法魔導師を追跡、捕縛する任務を受けた数時間前に、こんな地獄の光景を部隊の誰一人として予測し得なかっただろう。 出来るはずがない。 こんな光景が、この世に実現するはずがないのだ。 夜空一体を覆うように浮遊する、おびただしいまでの『人間の頭蓋骨』―――それが、自分の武装隊を襲った者の正体だった。 淡く光る亡霊のような虚ろな輪郭と、頭だけの存在でありながら人間を一飲みに出来るサイズが、それを尋常ではない存在であると証明している。 仲間達は、突如出現したこのおぞましい存在達に次々と喰われていった。 「化け物め……!」 恐怖を悪態で噛み殺し、襲い掛かってくる頭蓋骨の眉間に向かって引き金を引く。 この亡霊としか表現出来ない怪物が人間を襲う瞬間だけ実体化するパターンを、魔力の浪費を経てようやく理解できていた。 「この……っ」 人の頭が弾けるようにソイツは消滅する。 しかし、眩暈のするような数の同種の存在が、今やティーダとわずかな生き残りを完全に包囲していた。 「―――<悪魔>めぇぇ!!」 今度は数体、同時の襲撃を決死の射撃で迎え撃つ。魔力弾は悪夢を吹き飛ばし、消える傍から新しい悪夢がティーダに襲い掛かった。 回避というより逃走に等しい動きで飛行し、この悪夢の原因へ視線を走らせる。 誰もが錯乱し、発狂しそうになる中、彼は最も冷静だった。 まだ視認できる距離にいる、逃走中の違法魔導師。 (奴だ! 『あの男』がこの化け物どもを……!) それが分かりながら、決して追跡不可能ではない距離をその間に浮遊する無数の人骨の化け物が絶望的に遠くしている。 しかし、あの魔導師をどうにかしなければ、自分達はこの悪夢に食い尽くされるしかない。 「うぉおおおおおおおーーーっ!!」 ティーダは残された魔力を全て結集し、最大速力で死の道筋に乗り出した。 群がるように動き始める無数の悪夢。 回避などという余分な行動を取る事は出来ない。あまりに絶望的な前進を、彼は選択した。 「ティアナァアアアアアアアアーーーッ!!!」 断末魔の如き叫びが夜空にこだまする。 それがこの世に遺すことになってしまうであろう、愛しい妹の名であることを、彼に襲い掛かる悪魔どもが知る由などもちろんありはしなかった。 ティーダ=ランスター一等空尉―――逃走違法魔導師追跡任務中に殉職。その死因はもちろん他殺だが、原因だけは依然として判明していない。 ティーダの殉職の知らせを聞き、駆けつけた男の名は<トニー>と言った。 同じ空戦部隊に所属していたわけではなく、むしろ魔導師ですらない。お互いにごく私的な付き合いのある友人だった。 当然、親類や部隊の同僚が出席するティーダの葬儀に招待されるワケもなく、トニーがようやく目的地の墓地に辿り着いた時には、すでに棺が地中へ収められた後だった。 最後の死に顔も拝めなかったことを残念に思い、大きくため息を吐くと、乱れたコートの裾を直して静かに参列者の傍へ歩み寄った。 整然と並ぶ喪服や軍服姿の参列者達の中で、黒いコートで申し訳程度に正装した彼は酷く浮いていたが、厳かな空気の中それを指摘する者はいなかった。 長身のトニーは参列者の最後尾から、祈りの言葉を捧げる神父と棺の収まった穴を見下ろす。 そして、一人の少女を見つけた。 最後に死者へ捧げる為の花と、オモチャの銃を胸に抱いた小さな少女。今年で10歳になったはずだ。 ティーダの、この世に遺された唯一の肉親である妹<ティアナ>だった。 天涯孤独となったティアナは、兄の亡骸の納まった棺を前に、泣くこともなく決然とした表情で前を見据えていた。 トニーの瞳が痛ましいものを見るように細まる。 親しい部隊の仲間は共に殉職し、両親もとうの昔に他界して、この葬儀に立ち会っているのはティアナにとって他人のような遠い血縁と、他人同然の軍人や職員だけ―――。 ティーダ=ランスターの死を、本当に悲しんでいるのは彼女しかいないというのに、その少女自身が涙を流さぬ姿が、トニーには酷く悲しいものに映るのだった。 出直すべきか……。 トニーが気まずげに踵を返した、その時。 「―――名誉の殉職には程遠いな」 囁くような声が、トニーの耳に障った。 参列者の内、軍服を着た者達の間から漏れた言葉だった。小声のつもりだろうが、静寂の中でそれは酷く耳障りに響く。 「航空隊の魔導師として、あるまじき失態だ」 「無駄死にだな。最後の通信を聞いたか? 『悪魔に襲われている』だそうだ」 「状況に混乱し、あまつさえ目標すら取り逃がすとは」 「部隊の面汚しめ」 誰がどれを言っているのかは、もはやどうでもよかった。 ただ、彼らの心無い侮蔑の囁きが、死者とその家族を限りなく傷つけていることだけは確かだった。 彼らの言葉に反応するように、小さな肩を震わせるティアナを見つめ、トニーは返した踵を再び反転させた。その歩みに怒りを宿して。 「おい」 「ん? なんだ君は? ここは関係者以外……」 全て言い切る前に、男の顔には鉄拳がめり込んでいた。 男が意識を手放し、鼻血を噴出して昏倒すると同時に、トニーの周囲を敵意が取り囲む。 「な、なんだ貴様!? 我々は時空管理局の―――」 「さっきのふざけた言葉を言ったのが誰か、別に探し出すつもりはないぜ」 怒りで脳の煮え滾ったトニーは全てを無視して、ターゲットを軍服を着たその場の全員に決めた。 「あの毎朝トイレで聞くような腐った言葉を聞き流した、テメエら全員が同罪だ。一人残らず顔面整形して帰んな」 「取り押さえろ!」 周囲が騒然とする中、トニーは厳かに告げる。その場の管理局員全てを敵に回し、彼は拳を振り上げた。 数分をかけて、トニーは自分が言ったとおりの事をやった。 「な、何のつもりですか……! この静粛な場で、アナタはなんという……っ」 死屍累々と横たわる管理局員達。彼らの顔面を一つ残らず陥没せしめた元凶の男を震える指で指し、神父は恐怖と怒りを向けていた。それ以外の参列者はほとんどその場から逃げ出してしまっている。 トニーは神の使いに中指を立てて応えた。 「死者を罵るのが静粛かい? とっとと失せな。ここはティーダが眠る場所だ」 言って、周囲を睨みつけるトニーの凄みに、残った者達も慌ててその場から逃げ出した。 静寂を取り戻した墓地に残されたのは、トニーと、彼の友人の眠りを妨げた愚か者の末路、そしてただ黙って事の成り行きを見守っていたティアナだけだった。 「悪いな、余計に騒いじまって」 「いい……ありがとう」 バツの悪そうなトニーに、再び棺に視線を落としたまま、ティアナは小さく礼を言った。 ティーダの眠る棺の前。トニーとティアナは肩を並べて佇む。 「……あなた、お兄ちゃんの知り合い?」 「個人的な友達さ。趣味が合ってね、コイツには『こっち』に来てから世話にもなった」 答える声に哀愁の色は無かったが、この男が兄の死を悼んでいることが幼いティアナにはなんとなく理解出来た。 トニーが持参した酒瓶を棺の横に添える。それに倣うように、ティアナが花を放る。 そして、沈黙が流れた。 沈痛なそれではなく、ただ穏やかな静けさが。 周囲が兄を『無能』『役立たず』と評する中、ただ静かに悲しんでくれる目の前の男の存在が、初めて救いのように思えた。 「……ねえ、お兄ちゃんは『役立たず』でも『嘘吐き』でもないわ。お兄ちゃんは頑張った。そして、頑張ったお兄ちゃんを殺したのは、<悪魔>なのよ」 「ああ、そうだ」 独白のようなティアナの言葉を、当然のようにトニーは肯定した。 それは、彼女への慰めでも相槌でもなく、歴然とした事実だったからだ。 「<悪魔>は実在する。 そして、ティーダはそいつらを命と引き換えに倒したのさ。さっきのクソどもが呑気にバカを言えるのも、全部そのおかげなんだ」 断言するトニーの決然とした横顔を、ティアナは見上げた。 妄言を吐く狂人を見るような眼ではなく、ただ真摯に見据える少女の瞳がそこにあった。 「―――俺は、ここに誓いに来た。ティーダ、お前を殺った奴は、この俺が必ず切り裂いてやるってな」 「なら、それはあたしに誓わせて」 今度はトニーがティアナを見る番だった。 「ティーダ=ランスターの仇は、妹のティアナ=ランスターが取る。そして、お兄ちゃんの果たせなかった『執務官』の夢を引き継ぐ!」 少女の誓いの叫びが、静寂の中に響き渡った。 激情と共に湧き上がる涙を拭い、しかしもう二度と泣かぬと決める。 その少女の尊く痛ましい姿を、トニーはかつての自分を見るような瞳で捉えていた。 胸中に去来する感情は酷く複雑で、しかし唯一つ言えることは―――自分が亡き友人の為に出来ることは、この少女の行く末を見守り、支えることだけだということだった。 諦めと安堵の中間のような苦笑を漏らし、トニーはそっとティアナの頭に手を添えた。 「OK。聞いたぜ、お前の誓い。それが良い事なのかは分からんがね」 「後悔はしないわ」 涙を止めたティアナは、トニーの手をそっと取り払った。 「……ねえ、ところであなたの名前はなんていうの?」 そして、兄よりも高い位置にある顔を見上げ、改めて尋ねた。 トニーがニヤリと笑う。それは彼の生来持つ、お得意の不敵な笑みだった。 「トニー。トニー=レッドグレイヴだ、お嬢さん(レディ)―――だけど、お前には特別に『本当の名前』を教えておいてやるよ」 不思議そうな顔をするティアナに、彼は悪戯っぽくウィンクしてから答えた。 「俺の名は<ダンテ>だ―――」 魔法少女リリカルなのはStylish 第一話『Devil May Cry』 『<ダンテ>について何か教えろって? あんた、奴の何が知りたいんだ? 生憎、俺はあいつが何を考えてるのかすら分かりゃしねえよ。 この間だってそうさ。 いきなり事務所をおっ建てるとか言い出して、いい物件を探しといてくれ、ときた。 しかもできるだけ物騒な場所にしてくれとかぬかしやがる。商売する気があるんだかないんだか……。 ま、俺も仕事だからちゃんと物件は探してやったがね。 廃棄都市街の一角さ。無断居住者がゴミみてえに集まる無法地帯。ミッドチルダに点在する黒染みみたいな場所だな。まあ、その住人の一人である俺の言えたことじゃねえが。 管理社会のミッドチルダで物騒な場所と言えばこれくらいしかねえ。時空管理局の管理から零れた肥溜めだ。 お気に召したらしく大層喜んでたよ。 ミッドチルダじゃ見たこと無いタイプの人間だ。社会に適応できないはぐれ者の溜まり場の中で、アイツだけがギラギラとやけに光って見える。 笑うとガキみたいな顔をしやがるくせに、仕事となりゃ魔導師でもねえのに魔力弾の雨の中を妙な剣一本で駆け抜けていく―――そういう奴さ、ダンテってのは。 ―――家族? ああ、最近小さなお嬢ちゃんを連れて回るようになったみてえだが。 死んだダチの妹らしいが、しかし引き取ったとは聞いてねェな。さっきも言ったが、奴が何を考えてるかなんて俺には分からねえのさ。 まあ、奴の家族らしいものなんてそれくらいしか思いつかねェ。何も分からねェんだ。 1年前、フラッと現れていつの間にか居座っていた。誰も気付かなかったのに、今は誰もが奴に目を向ける。 付き合いの長い俺から見ても謎の多い奴さ。 そんなに気になるなら、直接会ってみな。とびっきり物騒な場所に、奴の<店>はある。 どんな店かって? そりゃ行ってみれば分かるさ。 暗闇の中でバカみたいに派手なネオンの看板を見つけたら、それがそうだ。 店の名前は奴が考えた。ダンテにピッタリさ、何せ奴が相手ならきっと『悪魔だって泣き出す』だろうからな。 ―――その店の名前は<Devil May Cry> この世からあの世に渡りをつけられる、唯一の場所だ』 とある情報屋の証言より。 シャワーの音に紛れて事務所の方から電話のベルが聞こえた。 念願の仕事の到来に、ダンテは口笛を鳴らす。 ポンコツボイラーの湯の温度は常に熱すぎるか冷たすぎるかで、毎度の事ながらお世辞にも快適なバスタイムとは言い難かったが、自分を呼びつけるベルの音に機嫌はよくなっていた。 未だに事務所の借金を抱える身としては、金になる仕事はありがたい。 何より、怠惰な日常は度を過ぎれば苦痛だ。人生を楽しくするには刺激が必要なのだ。 汚れ物のバスケットの中から最もマシと思えるタオルを選んで体を拭き、半裸の肩から湯気を上げながらダンテは扉一枚隔てた事務所へと顔を出した。 途端、電話のベルが止む。 「デビル・メイ・クライよ」 店主以外の少女が、電話を取っていた。 電話の対応をする不法侵入者に対するリアクションを軽く肩を竦めるだけに留める。店に鍵など掛けた試しはなかったし、シャワーやトイレを貸してやるくらいの度量はある。 何より、その少女はダンテの数少ない知人だった。 「―――いえ、悪いけどウチはもう閉店時間よ」 受話器越しに数言聞いただけで、少女は素っ気無く電話を切ってしまった。 「ヘイヘイ、お嬢さん。店主の俺の意見も聞かずに切るなよ」 「『合言葉』がなかったわ」 「余裕があれば、そういう選り好みもするんだがな。このままじゃ干上がっちまう」 「それで、また前みたいに小銭で女の子の猫探しを引き受けちゃうんでしょ?」 「いい男は女に優しいからな。第一、あれはお前が受けたんだぜ―――ティア」 じゃれ合うような軽口の応酬の後、ダンテと月日を経て13歳になったティアナは笑い合った。 「今日は一体どうしたんだ? しばらく試験とかがあるから、こっちには寄り付かないって言ってなかったか?」 「うん、その事で結果を報告に来たんだけど……」 「おっと、その前にこっちの用事を済ませてくれ。いい知らせは後で聞いた方がいい」 ティアナの顔に浮かぶ喜色の笑みから、それが朗報であることを悟ると、ダンテは苦笑しながら台詞を遮った。 乱雑な調度品の中で唯一事務所らしい備品である机の上に無造作に放られた銃型のデバイスを手に取る。 弾丸こそ入っていないが、頑強なフレームで構成されたそれは武器としての凶悪さを表していた。 「最近コイツの調子が悪いんだ。ちょっと見てくれ」 ダンテは手馴れた仕草でデバイスを振り回すと―――おもむろに銃口をティアナの眉間に突きつけ、ぶっ放した。 炸薬を使用した弾丸とは違う、高密度の魔力弾が空気の炸裂音と共に飛び出す。 それは絶妙のタイミングで首を逸らしたティアナの頬を横切り、いつの間にか背後で大鎌を振り被っていた黒い影に直撃した。 人ならざる影は、見た目どおりの怪物染みた悲鳴を上げて魔力弾に吹き飛ばされる。 「―――本当ね、魔力の集束率が落ちてるみたい」 何の前触れもなく撃たれた事にも得体の知れない敵が出現した事にも関心を示さず、影が再び立ち上がろうとする事だけにティアナは頷いて返した。 ダンテの魔力はカートリッジの使用なしで絶大な威力の攻撃を可能にする。普段なら仕留め損なうなど在り得ないのだ。 「フレームの歪みかしら? 結構気合い入れてチューニングしたのに」 ぼやきながら、ティアナは自分のデバイス<アンカーガン>で立ち上がろうとした影の頭らしき場所を無造作に撃ち抜いた。 致命傷を与えられた影の怪物は、そのまま最初からいなかったかのように消滅していった。 ―――闇が凝固し、人の形を取って人に襲い掛かる。 そのおぞましい光景が現実に起こることを、知る者は少ない。 日常を侵食する異常―――『それら』を知り得るのは、『それら』を駆逐する者達だけである。 ダンテと、この数年間彼の傍にいたティアナの、この二人しか知らない。 それらは<悪魔>と呼ばれることを―――。 「それにしても、相変わらず『こいつら』はダンテに引き寄せられるみたいに現れるわね」 ダンテからデバイスを受け取り、椅子に腰を下ろしながらティアナは先ほどまで影が凝固していた場所を見た。 今はもう跡形も無い。 「熱いアプローチは大歓迎だが、別の場所でお願いしたいね。そうすりゃ仕事になる。ぶっ殺すのには変わりないんだからな」 「でも、出現頻度はなんだか最近上がってるみたい。公にはされてないけど、クラナガンの方でも『出た』らしいわ」 「管理局も忙しくなりそうだ。<悪い魔法使い>の次は、<悪魔>が相手と来た」 「あたしも、もう他人事じゃなくなるけど……」 ダンテのデバイスを弄りながら小さく呟いたのを、相手は聞き逃さなかった。 「へえ。じゃあ、やっぱりいい知らせかい? 陸士訓練校ってヤツの試験に受かったんだろ?」 「うん、まあね」 「ハハッ、やったじゃねえか! 来いよ、キスさせてくれ」 「バカ」 大仰に両手を広げるダンテに対して素っ気無く返しながらも、それが照れ隠しであることはティアナの赤い顔を見ればすぐ分かる。 肉親を失い、兄の夢であった執務官を目標に努力してきた。その孤独な奮迅を、目の前の男だけがずっと見守り続けてきてくれたのだ。 その彼からの祝福の言葉に胸から込み上げるものを、ティアナは何気ない表情の下に押し隠した。 「しかし、そうなると俺の愛銃を整備する人間がしばらくいなくなるな。まいったぜ」 「そう思うなら、もうちょっと丁寧に扱いなさいよ。アマチュアの自作とはいえ、単純な簡易デバイスだからその分頑丈に作ったのに……」 ティアナのアンカーガンもそうであるが、ダンテの銃型デバイスは、同じ変則ミッド式を扱うよしみとしてティアナが自作したものだった。 ただ魔力弾を放つだけのシンプルな機能しかない分、フレームの強度はアームドデバイス並のはずだが、それすらダンテの酷使に耐え切れずにダメージを負ったのだ。 「せいぜい気をつけるさ」 返答とは裏腹に、ダンテは性に合わないとばかりに肩を竦めた。 「いざとなったら、裏に仕舞ってある『本当の銃』を使うしな。相棒はいつでも準備万端さ」 「質量兵器が違法なのは分かってるわよね?」 「おいおい、別にミサイルや爆弾を使わせてくれって言ってるわけじゃないんだぜ?」 「大小は関係ないのよ。あたしも今年からそれを取り締まる側に回るんだからね」 「大丈夫さ、もし取調室で目が合っても他人のふりをしてやるよ」 「そういう問題じゃないっての……はい、終了」 メンテナンスを終え、ティアナがデバイスを手渡す。 ダンテはここ数年で第二の相棒として大分手に馴染んだそれを軽く玩び、クイックドロウのパフォーマンスを決めた。 ティアナに言わるとこの「頭の悪いカッコよさ」にこだわるのが、彼のスタイルだった。 「―――それじゃあ。報告も済ませたし、もう行くわ。またしばらく顔は出せなくなると思う」 「なんだ、随分と急ぐな? 馴染みの店でパーティーしようぜ」 「訓練校も寮制だから、準備とかもあるし……。訓練が始まったら、休みもなかなか取れないと思うから」 急くように立ち上がり、店を出ようとするティアナだったが、その言葉が全て言い訳に過ぎないと自覚していた。 素直になれない少女を数年間見続けてきたダンテは、心得たものだと苦笑する。 「なるほど、長居すると余計恋しくなるってワケか」 「な……っ! ち、違うわよ、バカ!」 反論の説得力は赤面する顔が全て台無しにしていた。 ニヤニヤと笑うダンテに何か言おうとして、それが無駄だと悟ったのか、あるいは図星を突かれたと認めたのか、ティアナは顔を赤くしたまま背を向けた。 そのまま出て行こうとするティアナに、ダンテは笑いながら声を掛ける。 「―――がんばれよ。お前ならやれるさ」 不意打ちだった。 普段の調子のいい口調ではなく、優しい言葉だった。 「……っ」 熱いものが目元まで沸きあがってくる。 それを堪え、ティアナは精一杯の気持ちで素直じゃない自分の口を開いた。 「……あたしの兄弟は、死んだ兄さん以外いないって……そう思ってる。でも……っ」 同情でも哀れみでもなく―――ただ、いつも傍で見守っていてくれた。 「頑張ってくるわ……兄貴」 その言葉を口にした一瞬だけ、ティアナにとって兄は二人になった。 「<兄貴>ねぇ……」 気に入りの椅子に身を預け、ダンテは楽しそうに呟く。 ティアナの立ち去った後の扉を眺めているだけで、ニヤニヤと思い出し笑いが口の端を持ち上げた。 「呼ばれるのは新鮮だな」 悪くない。悪くない気分だ。 あの少女と共にいた数年間。特別意識したことなどなかったが、あれでなかなか可愛げのある妹分ではないか、と思う。 なんとなく他人のように思えなかったのも事実だ。 あれで器用そうに見えて不器用にしか生きられないところなど、自分とよく似ている。 <この世界>に来てから、以前とはまた違った出会いと別れの連続だ―――。 「悪くないね。刺激があるから人生は楽しい……そうだろ?」 応えるように電話のベルが鳴った。 投げ出した足が机を叩き、反動で受話器が宙を舞う。 それをキャッチすると、ダンテは受話器越しに相手が震え上がるようなクールな声色で囁きかけた。 「デビル・メイ・クライだ―――」 その日、多忙な筈の無限書庫司書長は珍しく優雅な午後の紅茶を楽しめていた。 未開の無限書庫のデータベースに手をつけて以降、圧倒的な仕事量とそれに反比例する人手不足に忙殺され続けているが、ふと嵐が過ぎるように休暇が取れる。 その貴重な時間を彼は食堂の片隅で安息と共に噛み締めていた。 「ユーノ君!」 「なのは! 久しぶり」 そして、そんなささやかな時間に二人が顔を合わせられたのは、ちょっとした幸運ですらあった。 ユーノ=スクライアと高町なのは。 互いに働く部署が分かれて以来、再会が数ヶ月越しになる事すらある、未だ友人以上恋人未満のラインに留まる幼馴染の久方ぶりの対面だった。 珍しく誰も同伴していない二人は、向かい合って再会を喜び合う。 「ユーノ君、休み取れたんだ?」 「休憩ってレベルのものだけどね。相変わらず本を相手に大忙しだよ」 「大変だね。でも、その割りに休憩時間まで本と一緒なの?」 苦笑しながらなのははユーノの手元を指差した。 飲みかけのレモンティーと、古ぼけた本が一冊がページを開いて置いてある。 「うん、ちょっと珍しい本を見つけてね。仕事とは関係ないんだ」 ユーノの指がなぞる先には、とても文字とは思えない難解な模様が何行も描かれている。 専門外のなのはにはワケが分からない代物だったが、しかしそれはユーノにも言えることだった。 「見つけたのは偶然だったけどね、これは僕にも読めないよ。読書魔法の解読も効かない。どうやら文字ですらないみたいなんだ」 「ふーん。でも、何の魔力も感じないみたいだけど」 「うん、この本自体はただの記録媒体に過ぎない。魔道書の多い無限書庫では珍しい本なんだ。 だけど、内容は見たことも無いほど複雑に出来てる。文字に見えるのは、実は伝説を主張するレリーフの集まりみたい。だけど比喩が深い。これを読み解くには、純粋に膨大な知識が必要になるだろね」 「へぇ……」 そんな物を休みの時間まで使って解読しようとするあたり、根っからの学者肌であるユーノらしかった。 だが、なのはにも何となくその気持ちが分かった。 ページの破れや染みに長い歴史を刻んだ、いかにも伝説の書物と言った風情のそれが纏う雰囲気は、人を惹きつける魔性のようなものを感じる。 「『されど魔に魅入られし人は絶えず』―――」 「え?」 不意に呟かれた言葉に、なのははドキリとした。 「本にあった一説だよ。この一行を解読するだけでも、すごく時間がかかったけど……どうやらこれは<悪魔>について記した本らしい。よくある神話の本さ」 「<悪魔>……」 <悪魔>という言葉を完全にゴシップとして捉えたユーノとは反対に、なのははその単語が酷く心に残っていた。 管理局内で囁かれる噂を思い出したのだ。 実際に被害が出ているのに、それ自体はまるで与太話のように信憑性を失っている、奇妙な噂。 ―――魔導師たちの中に<悪魔>に襲われた者たちがいる。 被害記録は確固として残りながら、誰もが被害者の報告を信じない。まるで人の無意識が、それから目を逸らそうとしているかのように。 「……続き」 「うん?」 「他に、読める所はないの?」 なのはの中で、その本への興味が大きくなりつつあった。 「そうだな、まだ手をつけたばかりだから……そう言えば、少ないけど共通して使われてるフレーズがあるね」 「それって?」 「<スパーダ>っていう単語だよ」 スパーダ―――。 なのはは自分でも知らぬ内に、その言葉を深く心に刻んでいた。 不意に時計が時刻を告げるアラームを鳴らす。昼の休憩時間が終了したのだ。 なのはは思考を切り替え、ユーノとの別れを惜しみながら立ち上がった。 「―――そう言えば、なのは。この本のタイトルなんだけど……」 立ち去るなのはの背に声を掛け、ユーノはその名を告げた。 その名を<魔剣文書>という―――。 後に、高町なのはにとって重大な事件に発展する、これがその最初の一端に触れた瞬間であった―――。 to be continued…> <ダンテの悪魔解説コーナー> サルガッソー(DMC1に登場) アフリカ大陸の西に広がる広大な海域は、計器や通信技術の発達していない昔に航海の難所として有名だったらしい。 いわゆる船の墓場。その海域の名こそが<サルガッソー>ってワケだ。 それと同じ名を持つこの悪魔は、海と魔界の狭間を行き来する低級な連中で、近くに生命を感じると反射的に実体化して喰らいついてくる。 見た目は捻りの無い『しゃれこうべ』の亡霊だが、必ず集団で現れる脅威と不気味さだけは十分な恐怖だな。 前記した特性の通り、距離を取った状態での攻撃は効果が無い。 だが、その特性を知ってるだけで敵の怖さは大分違ってくる。近づいて、実体化したところを好きに料理してやるといい。 知能も耐久力も並以下だが、唯一数だけが脅威だ。サルガッソーの遭難で帰れなくなった船みたいにならないよう、せいぜい油断はしないことだぜ。 目次へ 次へ